CMOSキーヤー Ver.3 の製作
その後も JO1VYV 局と何度かやりとりさせていただき、
その中で話題として挙がった
ダイワインダストリ社のエレキー DK-200 / DK-210 の回路をベースに、
短点メモリー/長点メモリーのアクセプト区間を可変できるもの
というアイデアを拝借し、CMOS キーヤー Ver.3 として作ってみました。
なお、DK-200/DK-210 の回路図と取扱説明書は、
現在でも下記からダウンロードできます。
回路図 :http://www.daiwa-industry.co.jp/ftp/DK-200_210_schematic.pdf
取扱説明書:http://www.daiwa-industry.co.jp/ftp/DK-200_210_manual.pdf
アクセプト区間とは、次に送出する符号の予約 (メモリー) を、
いま送出している符号の何パーセントの期間に受け付ける (アクセプトする)
かのことで、下記記事でも少し触れています。
https://ji3csh.air-nifty.com/blog/2020/08/post-c0eeaa.html
■回路■
CMOS キーヤー Ver.3 は、電源電圧を 9 V として再設計。
サイドトーンモニター回路で使用するオペアンプは、
9 V でも使用可能な NJM4556AV に変更。
発振出力振幅は変更するつもりはなかったので、
ウィーンブリッジ発振回路 AGC 用抵抗の値は Ver.2 から変更せず。
DK-200/DK-210 の回路にある TUNE と SEMI (バグキーモード) は
特に必要性を感じていないので省略。
その他、
・サイドトーンモニター回路の電源が OFF できない問題を対策
・サイドトーンモニターの音量を絞ったときに残留しているノイズ (発振出力信号の漏れ) を対策
・ライン出力を削除
・外部キー入力回路の追加 (ただし、エレキー出力優先)
を盛り込みました。
できあがった回路図は以下のとおり。
スピード調整は Ver.2 と同じく、16 wpm 〜 38 wpm の 12 段切り替え。
抵抗は別基板に実装。
サイドトーンモニターを ON したとき、
ヘッドホンで聴いていると耳が痛くなるぐらいの派手なポップ音が発生するので、
サイドトーンモニター ON 時のミュート回路も追加 (別基板に実装)。
■基板■
CMOS キーヤー Ver.3 のメイン基板は面実装部品にこだわり、
コネクタ以外は全て面実装部品で構成。
基板は毎度の JLCPCB に依頼し、4 層基板で製作。
この程度の回路で 4 層基板を使用するのはどうかと思いましたが、
電源 / GND 配線を内層で引くことで他の配線がぐっと楽になり、
かつ大幅なコストアップにはならないので、迷わず 4 層を選択。
別基板は、片面銅箔の紙フェノール基板 (FR-1) を用いて自作。
■組み立て■
生基板自体は 1 月中旬に入手していたのですが、
仕事が多忙で、合間を見て組み立てていきましたので、
時間が掛かってしまいました。
メイン基板 (表面)
メイン基板 (裏面)
別基板 (表面)
別基板 (裏面)
これらの基板は、Ver.2 で使用していたケースに収納。
電池ケース (単三 × 6 本用) が大きくなり、結構キツキツな状態。
メイン基板と別基板は二階建て構造。メイン基板は上段。
■動作確認■
特に問題なく、すんなり動作しました。
サイドトーンモニターは、Ver.2 での不具合は解消されており、
ボリュームを絞ってもノイズ (漏れ信号) は聞こえませんでした。
音量が若干小さいように思いますが、実使用では許容範囲内です。
スピード設定も、ほぼ目標値どおりとなっています。
1 短点の長さが 60 ms のとき 20 wpm として換算すると、
設定値 (wpm) |
1短点長 実測値 (ms) |
換算スピード (wpm) |
16 | 75.20 | 16.0 |
18 | 67.40 | 17.8 |
20 | 60.20 | 19.9 |
22 | 55.20 | 21.7 |
24 | 50.20 | 23.9 |
26 | 46.40 | 25.9 |
28 | 43.00 | 27.9 |
30 | 40.20 | 29.9 |
32 | 37.60 | 31.9 |
34 | 35.40 | 33.9 |
36 | 33.60 | 35.7 |
38 | 31.50 | 38.1 |
アクセプト区間の切り替えによる差異は、何となく感じるかなというところです。
いろいろと試した結果、
・短点メモリーは、長点符号の 50 % 区間
・長点メモリーは、ON (こちらは 0 % か 100 % しかない)
が自分にはしっくりくるかなという感じです。
ただ、スピードが遅いときは、短点メモリーは 75 % でも良いかなとも思います。
(ゆっくりの和文で、テ を打ちたいところ、短点が一つ欠けてよく ヲ になってしまう)
私の常用エレキーは、これで完成形にしようと思います。
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