DAIWAエレクトロニックキーヤー DK-200/-210の回路を調べてみました
きっかけは、先日 JO1VYV 局から届いた 1本のメールです。
その内容は、2020年8月20日に書いた
「汎用 CMOS ロジック IC を使ったキーヤーの製作」
の文中で、
「昔発売していた、DAIWA のエレキー DK-200 / DK-210 がこの回路を採用していたと思います。」
の一文に対するコメントでした。
JO1VYV 局は、開局当時より DAIWA エレクトロニックキーヤー DK-210 を
使用しておられたようで、その後エレキーをいろいろと自作されたものの、
DK-210 と同じ使用感のものに巡り会うことができなかったとのことです。
自作されたエレキーは CQ 誌などの雑誌記事の回路が元になっており、
DK-200 / DK-210 も何か元となる回路があるのではと探し続けておられましたが、
上記の一文で長年の疑問が解けたとのことでした。
その後何度かメールでやりとりし、情報交換させていただきました。
DK-200 / DK210 のスクイーズ動作時での短点メモリは、
長点の後半1/2期間のみ受け付けるようです。
JO1VYV 局も私も、長点後半1/2期間の短点メモリの DK-200 / DK-210 に
使い慣れて (癖がついて) しまい、リグ内蔵のエレキーを含む他のエレキーでは馴染めず、
短点が余計に送出されてしまうようになってしまったようです。
JO1VYV 局曰く、短点メモリの位置と打ちやすさの違いの関係などを
気にされるような方は周囲にもおられなかったようなので、
同じ悩み (?) を語っていた私の拙筆記事に共感をいただいたようです。
さて、ここで一瞬不安がよぎりました。
上述の、「昔発売していた、DAIWA のエレキー DK-200 / DK-210 がこの回路を採用していたと思います。」
の一文は本当でしょうか。
その昔、DK-200 / DK-210の回路図 (取扱説明書に記載がありました) を見たときに、
詳細に比較したのか、使用されているICを見て類似していると思い込んだのか、
当時のことは思い出せません。
JO1VYV 局から DK-200 / DK-210 の取扱説明書のコピーを送っていただきましたので、
原典と思われるCQ 誌 1981 年 9 月号に掲載の
「アクセプト区間を工夫した メモリー付きエレキー」(JA4DWQ OM 著)
の回路図と、再度比較してみました。
DK-200 / DK-210 取扱説明書 (JO1VYV 提供) より抜粋 (低解像度に加工)
CQ 誌 1981 年 9 月号の記事より抜粋 (低解像度に加工)
DK-200 / DK-210 の回路図を、論理記号レベルに落とし込んだ形で
KiCad の回路図に入力していきました。
結論としては、
予想どおりDK-200 / DK-210の回路はCQ誌の回路と基本的に同等であり、
CQ誌の回路がベースとなっていると思われます。
DK-200 / DK-210 取扱説明書 (JO1VYV 提供) より抜粋 (低解像度に加工)
DK-200 / DK-210 回路を論理記号レベルに落とし込んだ回路図 (低解像度に加工)
この回路図を見ると、DK-200 / DK-210短点メモリーも、
長点の後半50%部分で掛かるようになっていることが分かります。
ただ、基準クロック発生部分がちょっと異なっていたり、
TUNEやSEMI (バグキーモード) などが追加されていたり、
WEIGHTで符号を鈍らせる回路が追加されていたりと、
いくつかアレンジされている部分もありました。
これで私もスッキリしました。
今回のやりとりでは短点メモリの掛かり方だけでいろいろと話題は盛り上がり、
こんな細かいことではあるものの、奥が深いなぁと感じました。
素晴らしい回路を考案され、CQ誌に投稿された JA4DWQ OM と、
それをベースに使いやすいキーヤーを製品化した (と思われる) DK-200 / DK-210 に感謝しつつ、
今回自作した CMOS キーヤー (Ver.2 ですが) を使い続けていきます。
JO1VYV 局は、
「ロジックICで構成したエレキ―はアマチュア無線の文化遺産だと思っています」
と仰っていました。
こんなマイナーなブログの誰も感心を持たないような記事に興味を持っていただき、
大変嬉しく思います。
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