アンテナの利得に関する勘違い
ネットとかを見ていると、たとえば、
「アンテナの利得が 10 dB あるので、10 W が 100 W になる」
といったような表現をときどき見かけることがありますが、
私はこれに違和感を覚えます。
アンテナは能動素子ではありませんので、ブースターなどを内蔵していない限り、
アンテナで電波の電力が増幅されることはありません。
上記の例でいうと、アンテナの利得 (大抵は相対利得で定義されている) が 10dB ならば、
基準となるアンテナ (大抵は半波長ダイポール) を使った時と比べて、
受信点での受信電力が 10 dB (10 倍) になるということです。
すなわち、ダイポールで 100 W 出力したときと同じ受信電力 (同じ効果) が得られる
というふうに理解すべきだと考えます。
アンテナに供給される電力 (エネルギー) を、
如何に指向性方向に集中させて強く届けるかということだと思います。
敢えて例えるとすれば、
スプリンクラーのように全方向に散水するのと、
消火ホースのように先端が細くなったもので方向を定め集中して放水するのとであれば、
同じ供給水量でも後者の方がある目的点に対し、より効率よく遠くへ多くの水を送り込むことができる
という感じでしょうか。
アンテナの利得は、基準とするアンテナを何にするかで、
値が変わってきます。
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