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2023年10月の2件の記事

2023年10月20日 (金)

GPS受信機インターフェースの失敗点

先日製作した GPS受信機インターフェースの製作 で
FT-991AM が GPS 信号を受け付けてくれなかった原因は、
GPS/CAT 端子のピンアサインを間違えていたことでした。

FT-991AM の取扱説明書を見ると、このようになっています。
20231020_0001
(FT-991A 取扱説明書より抜粋)

MENU No. 028 の GPS/232C SELECT で
 GPS1 または GPS2
に設定するのと
 RS232C
に設定するのとで、GPS/CAT 端子の信号が切り替わってしまうのです。
特に pin 2 は
 GPS 設定だと FT-991AM への入力信号
 RS232C 設定だと FT-991AM からの出力信号
になり、信号の方向まで変わってしまいます。

これに気付かず、RS232 仕様のピンアサインで基板を作ってしまったので、
MENU No. 028 を GPS1 または GPS2 に設定していても、
FT-991AM は GPS 信号を受け付けてくれなかったのです。

 


試しに基板のパターンをカットして、
GPS/CAT 端子の pin 2 に GPS 信号を入力するように改造してみたところ、
無事 FT-991AM が GPS 信号を受け取ってくれました。

20231020_0002

 

FT-991AM の MENU No. 028 を GPS1 または GPS2 に設定していると、
どうも GPS/CAT 端子の pin 2 に GPS 信号を入力するだけでよく、
他の端子には何も接続しなくても良さそうなようです。

さらに基板のパターンをカットして、
 pin 3 の TXD
 pin 6 の RTS
 pin 7 の CTS
を未接続にしても、FT-991AM は GPS 信号を受け付けてくれました。

 


一つのインターフェースで、GPS 受信と RS232 を用いた CAT を切り替えようとすると、
GPS/CAT 端子 pin 2 の信号方向が変わってしまうので、
RS232 信号レベル (±12 V 程度) の切り替えスイッチが必要になります。
スイッチ用 IC などで対応しようとすると、それに対応した電圧の電源を用意しなければなりません。

なので、USB - RS232 の仕様は諦めようと思います。
(元々そんなに必要性を感じていませんので)
代わりに、GPS - USB、GPS - RS232 (FT-991AM用) を同時に実現するような仕様で
基板を作り直そうと思いました。

2023年10月15日 (日)

GPS受信機インターフェースの製作

少し前に、秋月の通販で部品を購入したついでに、GPS 受信機ユニットも入手しました。
 GPS/GLONASS受信機 (Galileo/BeiDou可) u-blox M8搭載 みちびき3機受信対応
20231015_0001

入手したのは RS232 接続タイプで、ケーブルの端は5芯の線が剥き出しになっています。
上の写真は Mini DIN 6pin コネクタを取り付けた状態のものです。
現在このタイプの GPS 受信機は売り切れているようで、USB 接続タイプのものしかないようです。

この GPS 受信機ですが、USB 経由で PC と接続したり、
RS232 経由で FT-991AM と接続したいと思って購入したものです。
なので、今回 GPS 受信機を接続するためのインターフェースを作ることにしました。

 

目的とする用途では、GPS 受信機 ⇔ USB、GPS 受信機 ⇔ RS232 と接続先が二種類あるので、
インターフェースを二つ用意する必要があります。
しかし、いちいち用途によって繋ぎ替えたりするのも面倒くさいので、
スイッチで切り替えられるようなものを考えることにしました。
ついでに、USB ⇔ RS232 も切り替えられるようにし、3 way タイプとすることにしました。

 


回路図は下図のようにしました。
20231015_0002

GPS 受信機 と FT-991AM を接続するときは、RS232 経由となりますが、
インターフェースの電源をどこかから引っ張ってこないといけません。

手っ取り早いのは PC からの USB 経由 V Bus (5 V) ですが、そうすると USB のポートを一つ使ってしまいます。
FT-991AM と PC は USB で接続していますので、USB ポートが不足してしまうと困ります。
なので、このインターフェースに USB ハブも搭載し、USB ハブを介しても FT-991AM と PC を接続できるようにしました。

 

USB ハブは FE1.1s、USB - シリアル変換は FT230XS、シリアル - RS232 レベルコンバーターは MAX3232
を使用しました。全部手持ちで余っていた部品です。使い切りにちょうど良かったです。

USB のコネクタは、USB mini-B としました。
本当は今どきの USB Type-C とか、せめて USB micro-B とかにすべきなのでしょうが、
面実装タイプしかなく、強度面で不安があったので、スルーホールタイプの USB mini-B にしました。 

シリアル信号の切り替えは、74HC4053 を使用しました。
74HC4053 はアナログ信号用のスイッチなので、本来はバススイッチのような デジタル信号用の IC を使うべきです。
ただ、ちょうど良いものが見つからなかったので、今回は妥協しました。
9600 bps の低速通信なので、寄生容量やオン抵抗の高いことはあまり影響しないと思います。
信号の切り替えは、3接点のスライドスイッチ (側面タイプ) を使用しました。

MAX3232 と GPS 受信機の電源用に、LDO の NJM2871BF33 で 3.3 V を生成しています。

 

基板のパターンはいつもの KiCad で作成し、75 mm × 60 mm に収めました。

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基板は当初自作予定でしたが、思いのほか部品点数が増え、面倒くさくなったので JLCPCB で注文することにしました。

 


この週末に基板が届き、サクッと組み立てました。

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残念なことにミスが二箇所あり、リワークが必要になりました。

一つは USB mini-B コネクタ。
フットパターンを間違えて作った (上面図と底面図を間違えた?) ため、
USB のコネクタのみ裏面に実装することになりました。

もう一つは、3接点のスライドスイッチ。
これもピン配置の間違いで、配線の入替が必要になりました。
写真で基板が少し汚くなっている部分がそれで、レジスト補修剤を塗布したためです。

なお、上記の回路図、パターン図は二箇所のミスを修正しています。

 


こんな感じで GPS 受信機、USB、RS232 と接続し、動作チェックしました。
(USB ハブにケーブルが接続されていませんが、もちろん動作チェックしています)

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USB ハブの動作、仮想 COM ポートの認識は OK でした。
U-blox のサイトから u-center というソフトをダウンロードし、GPS 受信機の動作確認もしました。

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u-center の使い方がまだよく分かっていませんが、一応 GPS の信号を受信できており、
GPS 受信機 ⇔ USB の動作は OK そうです。

次に、USB ⇔ RS232 に切り替え、FT-991AM を RS232 経由で CAT コントロールしてみました。
Hamlog や CTESTWIN で周波数やモードなどの取り込みが確認できました。
USB ⇔ RS232 の動作も OK そうです。

最後に、FT-991AM と GPS 受信機を RS232 経由で接続してみましたが、
どうもこれが上手く動作しません。
USB ⇔ RS232 は OK なので、MAX3232 周辺回路やそれへの接続は問題無いと思われます。
オシロスコープで、FT-991AM の RS232 (RTS 信号) へ GPS 信号を送りつけているのも確認できているのですが、
ネット上の情報を参考に FT-991AM 側の設定をしているにも関わらず、FT-991AM が信号を受け付けてくれません。
いろいろ試したのですが、GPS 信号は受け付けず仕舞いでしたので、今日は諦めました。

 


当面は、PC との接続で時刻設定にでも使いたいと思っています。
FT-991AM で動作させることは、今後の課題です。

 

10/16 追記

FT-991AM が GPS 信号を受け付けてくれない理由が分かったような気がします。
もう少しちゃんと、FT-991AM の取扱説明書を見ておくべきでした。

今度の週末にでも、基板を切った張ったして確認してみたいと思います。
原因がそれだとすると、切り替えで 3 Way になるという仕様が難しくなりそうで、
方針転換が必要かも知れません。

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