TS-950SDX用 デジタルモード用インターフェース Ver.2.5K の製作
もうこの手の基板の製作は終了したはずなのですが...
以前、TS-950SDX のリグコントロール用インターフェースを作りました。
TS-950SDXのリグコントロール用インターフェースの作製
TS-950SDXのリグコントロール用インターフェースの作製2
しかし、デジタルモード用インターフェース Ver.3.0 を作ったときだったか、
USBーシリアルコンバータ IC の FT232RL が足らなくて、
リグコントロール用インターフェースから供出しました。
その後、リグコントロール用インターフェースを復活させることは無く、
そのまま放置していました。
しかし最近、手持ち部品の使い切りを少しずつ考えていて、
FT230XS と FT231XS が一個ずつ余っているので、
これを使って TS-950SDX のリグコントロール用インターフェースを復活させようと考えました。
せっかく作るのであれば、CW キーイングもさせたい。
そしたらいっそのこと、RTTY キーイングや音声インターフェースも含めて、
デジタルモード用インターフェースにしてしまおうということになりました。
回路のベースは、以前作製したデジタルモード用インターフェース Ver.2.5 としました。
今回の回路設計のポイントは、USBーシリアルコンバータ IC FT230XS の I/O と
TS-950SDX のシリアル通信信号のインターフェース部分です。
FT230XS の I/O は、3.3 V CMOS レベルです。
一方で、TS-950SDX のシリアル通信は、負論理の TTL レベルと言われています。
インターフェースの役割は、信号の極性反転、およびレベル変換 (3.3 V CMOS ⇔ TTL) となります。
なので、インターフェース用 IC としては、74HCT04 や74VHCT04 などの、
TTL レベル入力の CMOS インバータが候補になります。
詳細は後述しますが、今回は 74VCHT04 を使用しました。
ここで、ネットで拾ってきた TS-950SDX のサービスマニュアルで回路を確認してみます。
<TS-950SDX サービスマニュアルより抜粋>
確かに、I/O 用の IC は SN74AS04 であり TTL です。
赤線でなぞった配線は、TS-950SDX から出力される信号 TXD と RTS です。
SN74AS04 から出力されているので TTL レベルですが、
よく見ると 1 kΩ の抵抗で +5 V ラインにプルアップされています。
プルアップ抵抗によって TXD および RTS の 'H' レベルは約 5 V まで上がりますので、
TTL ではなく 5V 系の CMOS に入力しても、'H' 信号を受け取ることができます。
一方で、RXD と CTS の信号も +5 V ラインに 1 kΩ でプルアップされています。
デジタルモード用インターフェース基板側が 'L' を出力したとき、
5 V / 1 kΩ = 5 mA の電流がインターフェース基板の出力回路に流れ込みます。
74HC シリーズの 'L' 出力ドライブ能力 IOL は 4 mA なので、ちょっと不安です。
なので、IOL が 8 mA ある 74VHCT シリーズがベターであると考えます。
以前製作した、リグコントロール用インターフェースでは、
FT232RL の I/O を直接 TS-950SDX のシリアル信号に接続したのですが、
ドライブ能力はさほど高くないので、よく動いていたなと思ってしまいます。
さらに、74VHCT シリーズは、IOL が 8 mA とドライブ能力がそこそそあることに加え、
入力トレラントや出力パワープロテクションも備わっており、
こういったインターフェース用 IC としては適していると思います。
(入力、出力端子に、VCC 側のサージ保護用ダイオードが入っていないので、
IC (74VHCT シリーズ) の電源が印加されていない状態で、入出力に信号が加わっても、
電流が逆流入しない)
前置きが長くなってしまいましたが、今回製作した回路図は以下になります。
◆ 回路図 ◆
シリアル通信 (CAT 制御) の部分以外は、ほぼ Ver.2.5 から流用ですが、
USBーシリアル変換 IC は、FT232RL × 2 から FT230XS + FT231XS に変えています。
また、USB Hub IC は GL850G にしています。
◆ 基板 ◆
Ver.2.5 と同じ、90 mm × 75 mm のサイズで作りました。
JLCPCB に発注し、約一週間で入手しました。
◆ 組み立て ◆
部品は手持ちの Ver.2.5 基板からほぼそのまま流用 (移植) することにしました。
Ver.2.5 の基板は「お譲りします」としていたのですが、
おそらくニーズは無いものだろうと考え、自分用に部品取りさせてもらった訳です。
移植には半日程度掛かりましたが、何とか部品を壊すこと無く移し替えできました。
RTTY キーイングのコネクタのみ手持ちが無かったので、未実装にしています。
いつか入手して完成させたいです。
◆ 動作確認 ◆
とりあえず、Windows 上で仮想 COM ポートや USB Audio Codec は認識しています。
また、HAMLOG や CTESTWin で TS-950SDX の周波数やモード設定が取り込めることを確認しました。
音声入出力信号のレベルは未確認なので、ひょっとしたら調整が必要かも知れません。
ちなみに、シリアル通信信号のレベルも確認してみました。
まず、TS-950SDX の TXD 信号 (デジタルモード用インターフェース基板の RXD 信号) ですが、
TTL レベルでは無く、プルアップ抵抗のおかげで 0 V / 5 V で振れています。
次に TS-950SDX の RTS 信号 (インターフェース基板の CTS 信号) です。
こちらも、ちゃんと 5 V になっています。
実は、今回製作したインターフェース基板の RXD、CTS 入力は、
プルダウン抵抗 (プルアップ抵抗) を付けずに作りました。
TS-950SDX 側に 1 kΩ のプルアップ抵抗があるから、無くても良いかなと思ったからです。
しかし、インターフェース基板と TS-950SDX を接続しない場合、
RXD、CTS 入力は不定になり、好ましくありません。
なので、上記の回路図には R21、R22 (いずれも 10 kΩ) のプルダウン抵抗を追加しています。
本来ならプルアップの方が良いのでしょうが、基板パターンの都合でプルダウンにしました。
プルダウンにすると、'H' の信号はTS-950SDX 側のプルアップ抵抗 1 kΩとで分圧され、
レベルが下がりますが、プルダウン抵抗が 10 kΩ であれば約 4.55 V 程度にしか下がらず、
問題無いと考えます。
参考までに、TS-950SDX の RXD 信号 (インターフェース基板の TXD 信号) も見てみました。
74VHCT04 がちゃんとドライブしてくれているので、'L' レベルはちゃんと 0 V まで落ちています。
最近 TS-950SDX の出番が全くありませんが、これを機に少しでも復帰させることができたらと思います。
ただ、長い間使っていなかったので、ご機嫌斜めかも知れないのが心配です。
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