ダーリントン接続トランジスタ (フォトカプラ) の注意点
先日製作した絶縁型デジタルモード用インターフェースでの失敗未遂の記録 (備忘録) です。
CW Keying、RTTY Keying、PTT 制御の絶縁にフォトカプラを使いましたが、
少ない 入力側 LED 電流 (IF) で駆動させようとして、
ダーリントン接続トランジスタ出力の TLP627 を準備していました。
ダーリントン接続トランジスタの出力飽和電圧 VCE(sat) が大きいことは認識していましたが、
当初はリグ側 (受け側) の回路がどうなっているかは、気にしていませんでした。
(「ある程度電流を引けば良い」というぐらいにしか考えていませんでした)
VCE(sat) は出力電流にも依存しますが、TLP627 の場合は下表のとおり最大 1.2 V を考慮しておく必要がありそうです。
ちょっと気になって手持ちの TS-590S の回路を調べてみますと、
CW Keying の回路はインダクタと逆流防止用のダイオードを介して、MCU に入力されています。
MCU の I/O 電圧は 約 3.3 V のようです。
(TS-590 サービスマニュアルより抜粋)
MCU の I/O は CMOS レベルでしょうから、動作を確実にさせるためには、
'L' レベルを 3.3 V × 0.2 = 0.66 V 以下にしなければいけません。
逆流防止用ダイオードの VF も加わりますから、KEY端子はほぼ GND と同電位にしなければいけません。
これでは、ダーリントン接続トランジスタ出力の TLP627 で確実に Keying させることは難しそうです。
(通常のトランジスタやフォトカプラでも、VCE(sat) は 0.2 〜 0.3 V 程度あるので、少々苦しい感じですが)
PTT についても、回路は省略しますが、同様な構成でした。
同じように、RTTY Keying の方もみてみました。
(TS-590 サービスマニュアルより抜粋)
ダイオード (サージ保護用) を介して、3.3V 動作の CMOS ロジック IC に入力されています。
こちらも、TLP627 では確実な動作を保証することは難しそうです。
ということで、急遽 TLP627 → TLP624 に変更することになりました。
先にも書きましたが、ダーリントン接続トランジスタの VCE(sat) が通常のトランジスタより
大きいことは漠然と認識していましたが、受け側の回路をよく調べることを怠らないように
しなければならないことを改めて認識されられました。
(エンジニアの方にとっては、当然のことでしょうね)
最近のリグも高機能化に伴い、低電圧デバイスが多用されるようになってきていると思います。
それに伴い、インターフェース電圧も下がってきているでしょうから、上記のようなキーイングは
バイポーラトランジスタより ON 抵抗の低い MOS FET の方が良いのかもしれないと感じました。
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