CMOSキーヤー Ver.2 の製作 (その1)
5 V 単電源のウィーンブリッジ発振回路も試作で上手く動作したので、
以前製作した CMOS キーヤーと組み合わせたものを作りました。
参考:汎用 CMOS ロジック IC を使ったキーヤーの製作
5V単電源 ウィーンブリッジ発振器の試作
5V単電源 ウィーンブリッジ発振器の追試
■回路■
回路図は以下のとおりです。
(図をクリックすると、多少大きく表示されると思います)
基本的には、これまで検討、製作してきた回路の流用です。
キーヤーの変更点としては、出力のキーイングにフォト MOS リレーを使用しました。
先に繋がる機器の極性を不問とすることが目的です。
サイドトーンモニタ回路は、1/2 Vcc の基準電圧生成を抵抗分圧+ボルテージフォロワにしました。
試作検討段階では、いろいろとゴテゴテした回路にしていましたが、
基準電圧を抵抗分圧+ボルテージフォロワで生成した方が部品点数が少なく済むということと、
歪み特性を含めた回路安定性を考えると、結局は基本的な回路に戻した方がベターという判断となりました。
ヘッドホンアンプは、ステレオヘッドホンに繋げるよう、ダンピング抵抗の手前で L / R に分配しました。
オペアンプが 1 回路余ったので、ライン出力 ? も設けました。
(多分運用する機会は少ないと思いますが...) A2A や F2A での副搬送波にも使えると思います。
部品は、サイドトーンモニタ回路を中心に、面実装品へ変更しています。
D1:1N4184W・・・キーヤーのクロック生成回路のダイオード
Q2:2N7002 (T2N7002BK)・・・フォト MOS リレー駆動用 FET
IC8:TLP172A・・・キーイング用フォト MOS リレー
D2:1SS154・・・ピーク検波用ショットキーバリアダイオード
IC9:TC7S66・・・サイドトーンモニタスイッチング用
■基板■
パターン設計はいつもどおり、KiCADを使いました。
基板サイズは、85 mm × 60 mm に収めました。
プリント基板は久しぶりに、JLCPCB で作製してもらいました。
基板が 2 ドル、送料が 1 ドル、合計 3 ドル で基板を作ってもらえるので、驚きです。
(PayPal を利用したので、手数料 0.5 ドル 取られましたが、それでも 3.5 ドル = 約 530 円)
基板発注してから、10 日ほどで手元に届きました。
組み立てには、半日ほど掛かりました。
キーヤー部の部品は、前回製作した基板から部品を移植して流用しました。
■動作確認■
サイドトーンモニタ部のウィーンブリッジ発振回路は、少々フィードバック抵抗のカット&トライを要しましたが、
まあまあ綺麗な正弦波の発振波形が得られました。
ウィーンブリッジ発振回路の出力で、2 Vpp 強の振幅が得られています。
フィードバックの抵抗 (R7 と R9) は、3.9 kΩ、390 Ω としました。
キーイング後の発振波形です。
カメラのシャッタースピードと、オシロスコープの掃引スピードの関係で、
波形の右側が切れたように見えていますが、ちゃんと連続して動作しています。
ヘッドホンで聞いてみても、ちゃんとしたキーイング音が得られていました。
ただ、実用範囲ではあると思いますが、キークリック音が少し気になるかなという感じでした。
上図の波形で見ると、発振波形がスパッと ON / OFF しています。
また、発振波形とキーイングの周波数が同期していないので、
ON / OFF のタイミングが正弦波の 0°、180° (0 V となる位相) と合っておらず、
ランダムな位相で ON / OFF するような動作になっています。
これらが、キークリック音の要因であるのではないかと考えられます。
リグに繋いで、リグのサイドトーンモニタでも動作を確認することができました。
フォト MOS リレーは応答速度が遅いので、キーイングに影響しないか心配しましたが、
入力側 LED 電流 (IF) を約 8 mA 流した今回の設計では、キーイングスピードを上げても、
特に問題になるようなことはありませんでした。
今回は基板の組み立てと、仮組みでの動作確認までとなりました。
ケースやスイッチ類を買ってきて、実用的なキーヤーとして完成させたいと思います。
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