単電源 ウィーンブリッジ発振器を使ったサイドトーン回路の検討
前回の記事で、単電源で動作するウィーンブリッジ発振回路を検討しました。
単電源 ウィーンブリッジ発振回路の検討
この回路を使って、CW キーヤーのモニター (サイドトーン) を考えてみます。
要は、発振波形を断続的にすれば良いので、その方法としては、
① 発振回路の出力信号を断続する
② 発振回路のループを断続する
③ 発振回路の AGC で制御する
などが考えられます。
発振回路の出力信号の「有」と「無」でバイアス点を変えたくないので、
③の方法が良さそうに思います。
出力信号の「有」と「無」でバイアス点が変わると、いわゆる「ボツ音」が加算されてしまいます。
ここで、前回検討した単電源のウィーンブリッジ発振回路を見てみます。
上記③の方法だと、出力信号「無」のときに AGC のライン、すなわちピークホールドの電圧を落としてやれば良いのですが、
その後出力信号「有」に切り替わったとき、ピークホールドコンデンサ C3 を充電するパスが Q2 のエミッタ抵抗 R5 しかないので、
なかなか所定の AGC 電圧まで復帰せず、結果として信号の出力がかなり遅延します。
(シミュレーションでも確認済みです)
どうしようかと考えた結果、
ピークホールド電圧をもう一回 PNP トランジスタのエミッタフォロワで受けることにしました。
エミッタフォロワの PNP トランジスタ Q3 はドライブ能力はさほど必要はありませんので、
エミッタ電流は、500 µA 程度にしてみました。
PNP トランジスタのエミッタフォロワでバッファした AGC 信号であれば、
出力信号「無」のときに 電圧を落としても、出力信号「有」で直ぐに戻ってくると思われるので、
ここにキーイングの制御回路を追加してみます。
なお、ピークホールド回路のエミッタフォロワ Q2 はダイオードに戻しても大丈夫だと思います。
キーイングの立ち上がりが若干鈍りますが、
何とかバイアス点を変化させずに発振波形を断続させることができました。
波形の拡大図です。
FFTを掛けてみました。
単電源化したときと比べて、歪みの悪化はほとんど無いと思われます。
ここまでは机上検討です。
近いうちに実デバイスで実験してみたいと思います。
今回検討した回路は、あまりスマートではないかと思います。
ド素人が偉そうなことを言いますが、
回路の「答えは」一つではないので、設計にもそれぞれ個性があっても良いと思います。
そういうところが、アナログ回路の面白さでもあると思います。
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