構想から約1年半、ようやく430MHz帯の7エレメント 1波長ヘンテナが完成しましたので紹介します。

430MHz帯のアンテナは、自作の7エレ スクエアループアンテナを使ってきました。
それなりに楽しむことができるのですが、気に食わないところが一点あり、
それがずっと引っかかっていました。
それは、アンテナの指向性パターン (シミュレーションでの計算値ですが...) で、
サイドローブが大きく出ていることです。
実使用上は全く問題ないでしょうし、あくまでもシミュレーション上での話なので、
どうでもよいことだと思われますが、こだわり出すと気になってしまいます。
ツインループアンテナにすればサイドローブが改善することは分かっていたのですが、
アンテナの構造的に作りにくそうな感じがします。
いろいろと考えた結果、1波長のヘンテナが良さそうという結論となり、
作ってみることにしました。
2020年の夏頃のことです。
それから材料集め、材料加工などボツボツとやり始めましたが、
進捗が遅かったことと、アンテナの構造設計を何回も変更してやり直したので、
これだけ時間が掛かってしまいました。
(前置きが長くなってしまいましたが...)
◆◆目標◆◆
現在使用している7エレ スクエアループアンテナの利得、F/B比はキープしつつ、
サイドローブを極力減らすことです。
◆◆設計◆◆
MMANAを使用して設計しました。
7エレ スクエアループアンテナと同様に、給電点はマッチング回路なしで 50Ω+0j を目標としました。
設計図は下図のとおりです。
なお、-206 mm とか +181 mm とか書いてある数値は、
放射器 (Rad) を基準としたエレメントの位置になります。


MMANA でのシミュレーション結果は、こちらになります。
(Real Ground、地上高1m)

Ga (絶対利得) =15.11dB、F/B=25.02dB
7エレ スクエアループのシミュレーション結果が下図のとおりですから、
シミュレーションでの計算結果上ではありますが、目標はクリアできているつもりです。

◆◆材料◆◆
7エレ スクエアループアンテナと同様に、エレメントは、10mm幅×2mm厚のアルミフラットバーを、
エレメントクランプは、15mm厚のポリエチレン製まな板を使用しました。
ブームは今回、VP25 サイズの塩ビ管を使いました。
給電点はN型のレセプタクル (NR) を使用しました。
◆◆工作◆◆
ループアンテナと比べて構造が複雑になりますので、エレメントをどのように構成するか
試行錯誤し、何度もやり直しました。
悩んだ末、外周のエレメント1本と中間エレメント3本で構成することにしました。

中間エレメントはこんな感じです。

ネジ用の穴は、今回 3 mm のタップを切ってみました
エレメントクランプは、ポリエチレン製のまな板を加工しました。

今回は VP25 の塩ビ管 (外径 32 mm) に取り付けますので、32 mm の半円の切り込みを入れました。
半円の加工は、32 mm のホールソーで穴を開け、それを半分に分割するようにして作っていきました。
7エレ スクエアループアンテナと同様に、皿ネジを埋め込むための穴と、
エレメントを固定するためのタッピングビス用の穴も開けました。
エレメントクランプは、真ん中の中間エレメントに取り付けます。
長い時間掛かって、ようやくパーツが揃いました (ブーム以外)。

ホームセンターで購入したアルミフラットバーは、腐食防止のため表面に加工が施されています。
そのため、そのままでは電気的に導通しません。
エレメント接続部分は、ヤスリやサンドペーパなどで表面加工を削り取り、
必ずアルミ素材が剥き出しになるようにします。
また、必要に応じて導電性グリスなどを塗布して、接続部分の電気導通性を良くすることに努めます。
給電部はこのような形にしました。

アルミには直接ハンダ付けできませんので、1 mm 厚の真鍮板を介して、N型レセプタクルと接続しています。
真鍮板は、ハンダメッキをしておきました。
給電点にバランは入れていませんので、同軸ケーブルにクランプコア (パッチンコア) を 2 個噛ませて、
簡易フロートバランでお茶を濁しています。
◆◆調整◆◆
今までの経験で、ある程度シミュレーション結果と実際作ったモノとが合うことが分かっていますので、
放射器の左右の中間エレメントのみ仮止めをし、後は設計値どおり決め打ちして組み立てました。
VSWR が435.7 MHz ぐらいで1.0 になっており、若干周波数が高めで同調しています。
放射器の左右エレメントをそれぞれ 3 mm ずつ外側にずらしたところ、
433 MHz 程度で VSWR が 1.0 になりました。
その位置でエレメントに穴を開け、固定して完了としました。
NanoVNA で測定した結果は下図のとおりです。

バンド内で VSWR は 1.3 以下に収まっており良好ですが、同調点が 435 MHz 付近となってしまいました。
CW やデータ通信モードを運用することが多いので、もう少し周波数が低めに調整したかったです。
仮止めと本固定で若干状態が異なっていたのかも知れません。
今回は一旦これで良しとしますが、後々もう少し調整を追い込めればと考えています。
◆◆使ってみて◆◆
計算上の利得は 7エレ スクエアループアンテナとあまり変わりませんので、
劇的に飛びが良くなることは期待していません。
430.510 MHz で FT8 の QSO を試してみましたが、
PSKReporter で確認しても、イマイチ飛んでいないような気がします。
比較はしていませんが、スクエアループアンテナの方が良いような気もします。
ただ、アンテナを回せば、ある程度の指向性が有ることは確認できました。
もう少し使い込んでみないと分からないです。
7エレ スクエアループアンテナと比べて、かなり重たくなってしまいました。
移動で使うなら、スクエアループアンテナの方が良さそうです。
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