« デジタルモード用インターフェース Ver.3 (絶縁型) の製作 (その3 完成) | トップページ | FT-991AM が不調、メーカー送りに »

2020年3月22日 (日)

デジタルモード用インターフェース Ver.2.1 の製作

ここのところ同じような物ばかり作っていますが...

データ通信をするためのインターフェース基板は、割と容易に自作ができます。
自作される方にとって、何かご参考になればと思い、記事を書きました。

以前 デジタルモード用インターフェースVer.2 を作ったときに、Ver.1  がかなりの駄作だったので、
何時になるか分かりませんが、旧バージョンの部品を使って、Ver.2の二台目に作り替えても良いかと思っています。」
と書きました。

プリント基板を業者に作ってもらうという楽なことを覚えましたので、部品たちを蘇らせるべく、
Ver.2.1 を製作することにしました。

 

◆◆ 設計のコンセプト ◆◆

前作の Ver.2 をそのままリピートするのも芸が無いので、この記事をご覧いただいた方が製作の参考になるよう、
なるべく入手しやすくかつ安価な部品で、生産中止になっていないような物で構成するように選定を行いました。

 

◆◆ 回路図 ◆◆
回路図は、以下のとおりです。
機能は Ver.2 と同等で、データ通信用の音声入出力、PTT 制御、CW キーイングとなっています。
CAT 制御は無く、絶縁もしておりません。
音声信号処理回路のローパスフィルタは、PCM2906C の推奨回路と同じく、
 カットオフ周波数:約 30 kHz
 Q:約 0.8
ですが、Gain は 1/5 (-14 dB) にしています。 
多少特性を割り切っても問題ないかと思い、PCM2906 の VCCI には外部から 3.6 V を印加していません。
20200322_0001

 

◆◆ 使用部品 ◆◆
① USB ハブ
これが一番悩みました。
Ver.2 や Ver.3 で使用した GL850G や GL852G の入手が一番面倒なのではないかと思います。
いろいろと調べた結果、FE1.1s という中華系メーカーの USB Hub IC を使いました。
2020/3/22 現在、aitendo で 100 円で入手できます。

なおこの FE1.1s ですが、 米 MaxLinear 社の XR22404 という USB Hub IC とピン配置がほぼ同じです。
XR22404 の方が、外付け部品が少なくてすみます。
(内蔵の LDO のバイパスコンデンサが不要な分、外付け部品が少ないようです)

ちなみに、プリント基板は FE1.1sXR22404 の両方対応できるように設計していたのですが、
FE1.1s 専用に変更したため、Ver.2.11 としました。


② USB オーディオコーデック

Ver.1 の部品流用で、Texas Instruments 社の PCM2906 を使いました。
以前は共立エレショップでも販売していたのですが、現在は売り切れています。
特性改善版の PCM2906C でも同様に使用可能です。
ちょっと面倒ですが、Digikey か Mouser で入手することができると思います。


③ USB / シリアル変換

同じく Ver.1 の部品流用で、FTDI 社の FT232RL を使用しました。
ちょっと値段が上がってきましたが、秋月などで購入することができます。


④ 音声信号用回路

今回オペアンプは、Analog Devices 社の AD8532 を使いました。
1.27 mm ピッチのパッケージなので、ハンダ付けが楽です。
秋月で入手可能です (2020/3/23 時点)。


⑤ スイッチングトランジスタ
Ver.2 や Ver.3 では、東芝製の MOS FET 2SK2962 を使用していますが、生産中止のようです。
そこで、まだ入手可能な 2N7000 を使用することにしました。

⑥ その他
コネクタ類は、Ver.1 から取り外して流用しました。
音声信号用の抵抗やコンデンサは、特にオーディオ用の物は使用せず、
普通のカーボン抵抗とポリプロピレンフィルムコンデンサを使いました。

 

◆◆ 組み立て ◆◆
いつものとおり、リフロー処理ではなく、全て手ハンダによる実装です。
部品点数が割と少ないので、すぐに完成しました。

完成した基板の表面 (部品実装面) です。
20200322_0002

こちらは、裏面です。
20200322_0003

今回一点失敗がありまして、CW キーイングのコネクタの接続が間違っていました。
なので、パターンカットおよび配線入替をしました。
配線は先日購入した銅箔テープを細く切った物で行い、保護のためソルダーレジストで
タッチアップを施しました。
ちょっと汚い仕上がりになってしまいました。残念です。
20200322_0004

なお、上記の回路図は、失敗部分に関して修正済みです。

力作の Ver.2、またダサく (駄作) なってしまった Ver.2.11、絶縁型の Ver.3 を並べてみました。
20200322_0005

 

◆◆ 基板の動作確認 ◆◆
① 基本機能
  音声入出力、PTT :WSJT-X による FT8 信号の送受信 → OK
  RTTY キーイング : MMTTY + EXTFSK による送受信 → OK
  CW キーイング  : CTESTWIN による CW 送信 → OK (※)
※CW キーイングに関しては、最初常時キーダウン状態でしたが、
 上記の修正を行うことにより、問題解決しました。
 よって、基本機能については全て OK になりました。


② 
Audio 信号 (周波数スペクトル)
Ver.3 で評価したときと同じく、DIN コネクタの部分で入出力を短絡し、ループバック試験をしてみました。

1500 Hz、僅かに二次歪み成分が見えますが、基本波に対して約 -80 dB なので問題ないレベルと思います。
20200322_0006


1000 Hz
、同じく僅かに (約 -80 dB) 二次歪み成分が見えますが、問題ないでしょう。20200322_0007


100 Hz、これも同様です。
20200322_0008


50 Hz
、これも変わりません。
20200322_0009


Ver.3 (絶縁型) のときは、トランスを通した影響 (?) で、低域になるほど歪み成分が増えてきましたが、
さすがにトランスを通さなければ歪み成分量の周波数依存性は無く、素直に低域まで出力できることが
判りました。

 

さて、基板を業者に作ってもらったのですが、5 枚からの注文になり、基板が 4 枚余りました。
(Ver.3 の基板も 4 枚余っています)
ご興味がある方にお譲りしようかと考えていましたが、上記のとおり出来損ないの基板になってしまいましたので、
残念ながら廃棄も致し方ないかと思っています。

また、音声信号に関しては絶縁無しの方が特性が良いことがわかりましたので、
絶縁無しで CAT 制御付きのインターフェース基板 (Ver.2.5 (仮)) も計画できたらとも考えています。
ご興味がある方、ご意見をいただけると幸いです。

« デジタルモード用インターフェース Ver.3 (絶縁型) の製作 (その3 完成) | トップページ | FT-991AM が不調、メーカー送りに »

無線(工作)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« デジタルモード用インターフェース Ver.3 (絶縁型) の製作 (その3 完成) | トップページ | FT-991AM が不調、メーカー送りに »