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2020年3月の5件の記事

2020年3月22日 (日)

デジタルモード用インターフェース Ver.2.1 の製作

ここのところ同じような物ばかり作っていますが...

データ通信をするためのインターフェース基板は、割と容易に自作ができます。
自作される方にとって、何かご参考になればと思い、記事を書きました。

以前 デジタルモード用インターフェースVer.2 を作ったときに、Ver.1  がかなりの駄作だったので、
何時になるか分かりませんが、旧バージョンの部品を使って、Ver.2の二台目に作り替えても良いかと思っています。」
と書きました。

プリント基板を業者に作ってもらうという楽なことを覚えましたので、部品たちを蘇らせるべく、
Ver.2.1 を製作することにしました。

 

◆◆ 設計のコンセプト ◆◆

前作の Ver.2 をそのままリピートするのも芸が無いので、この記事をご覧いただいた方が製作の参考になるよう、
なるべく入手しやすくかつ安価な部品で、生産中止になっていないような物で構成するように選定を行いました。

 

◆◆ 回路図 ◆◆
回路図は、以下のとおりです。
機能は Ver.2 と同等で、データ通信用の音声入出力、PTT 制御、CW キーイングとなっています。
CAT 制御は無く、絶縁もしておりません。
音声信号処理回路のローパスフィルタは、PCM2906C の推奨回路と同じく、
 カットオフ周波数:約 30 kHz
 Q:約 0.8
ですが、Gain は 1/5 (-14 dB) にしています。 
多少特性を割り切っても問題ないかと思い、PCM2906 の VCCI には外部から 3.6 V を印加していません。
20200322_0001

 

◆◆ 使用部品 ◆◆
① USB ハブ
これが一番悩みました。
Ver.2 や Ver.3 で使用した GL850G や GL852G の入手が一番面倒なのではないかと思います。
いろいろと調べた結果、FE1.1s という中華系メーカーの USB Hub IC を使いました。
2020/3/22 現在、aitendo で 100 円で入手できます。

なおこの FE1.1s ですが、 米 MaxLinear 社の XR22404 という USB Hub IC とピン配置がほぼ同じです。
XR22404 の方が、外付け部品が少なくてすみます。
(内蔵の LDO のバイパスコンデンサが不要な分、外付け部品が少ないようです)

ちなみに、プリント基板は FE1.1sXR22404 の両方対応できるように設計していたのですが、
FE1.1s 専用に変更したため、Ver.2.11 としました。


② USB オーディオコーデック

Ver.1 の部品流用で、Texas Instruments 社の PCM2906 を使いました。
以前は共立エレショップでも販売していたのですが、現在は売り切れています。
特性改善版の PCM2906C でも同様に使用可能です。
ちょっと面倒ですが、Digikey か Mouser で入手することができると思います。


③ USB / シリアル変換

同じく Ver.1 の部品流用で、FTDI 社の FT232RL を使用しました。
ちょっと値段が上がってきましたが、秋月などで購入することができます。


④ 音声信号用回路

今回オペアンプは、Analog Devices 社の AD8532 を使いました。
1.27 mm ピッチのパッケージなので、ハンダ付けが楽です。
秋月で入手可能です (2020/3/23 時点)。


⑤ スイッチングトランジスタ
Ver.2 や Ver.3 では、東芝製の MOS FET 2SK2962 を使用していますが、生産中止のようです。
そこで、まだ入手可能な 2N7000 を使用することにしました。

⑥ その他
コネクタ類は、Ver.1 から取り外して流用しました。
音声信号用の抵抗やコンデンサは、特にオーディオ用の物は使用せず、
普通のカーボン抵抗とポリプロピレンフィルムコンデンサを使いました。

 

◆◆ 組み立て ◆◆
いつものとおり、リフロー処理ではなく、全て手ハンダによる実装です。
部品点数が割と少ないので、すぐに完成しました。

完成した基板の表面 (部品実装面) です。
20200322_0002

こちらは、裏面です。
20200322_0003

今回一点失敗がありまして、CW キーイングのコネクタの接続が間違っていました。
なので、パターンカットおよび配線入替をしました。
配線は先日購入した銅箔テープを細く切った物で行い、保護のためソルダーレジストで
タッチアップを施しました。
ちょっと汚い仕上がりになってしまいました。残念です。
20200322_0004

なお、上記の回路図は、失敗部分に関して修正済みです。

力作の Ver.2、またダサく (駄作) なってしまった Ver.2.11、絶縁型の Ver.3 を並べてみました。
20200322_0005

 

◆◆ 基板の動作確認 ◆◆
① 基本機能
  音声入出力、PTT :WSJT-X による FT8 信号の送受信 → OK
  RTTY キーイング : MMTTY + EXTFSK による送受信 → OK
  CW キーイング  : CTESTWIN による CW 送信 → OK (※)
※CW キーイングに関しては、最初常時キーダウン状態でしたが、
 上記の修正を行うことにより、問題解決しました。
 よって、基本機能については全て OK になりました。


② 
Audio 信号 (周波数スペクトル)
Ver.3 で評価したときと同じく、DIN コネクタの部分で入出力を短絡し、ループバック試験をしてみました。

1500 Hz、僅かに二次歪み成分が見えますが、基本波に対して約 -80 dB なので問題ないレベルと思います。
20200322_0006


1000 Hz
、同じく僅かに (約 -80 dB) 二次歪み成分が見えますが、問題ないでしょう。20200322_0007


100 Hz、これも同様です。
20200322_0008


50 Hz
、これも変わりません。
20200322_0009


Ver.3 (絶縁型) のときは、トランスを通した影響 (?) で、低域になるほど歪み成分が増えてきましたが、
さすがにトランスを通さなければ歪み成分量の周波数依存性は無く、素直に低域まで出力できることが
判りました。

 

さて、基板を業者に作ってもらったのですが、5 枚からの注文になり、基板が 4 枚余りました。
(Ver.3 の基板も 4 枚余っています)
ご興味がある方にお譲りしようかと考えていましたが、上記のとおり出来損ないの基板になってしまいましたので、
残念ながら廃棄も致し方ないかと思っています。

また、音声信号に関しては絶縁無しの方が特性が良いことがわかりましたので、
絶縁無しで CAT 制御付きのインターフェース基板 (Ver.2.5 (仮)) も計画できたらとも考えています。
ご興味がある方、ご意見をいただけると幸いです。

2020年3月15日 (日)

デジタルモード用インターフェース Ver.3 (絶縁型) の製作 (その3 完成)

先週末の特性確認で、信号の周波数が低くなると歪み (3次歪み) が増えてくることが判りました。
AF 信号の状態で歪ませてしまうと、送信時の相互変調特性の悪化が懸念されます。
データ通信モードで使う分には、下限周波数は 300 Hz ぐらいあれば、おそらく問題ないと思われます。
また現状のカップリングコンデンサの定数でも、300 Hz 程度の信号でしたら、
計算上は充分通過させることができるはずです。
なので、敢えてトランスは DC 直結する必要はないかと思い、カップリングコンデンサの
C32 と C37 はそのまま使うことにしました。

一方、TS-590 や TS-2000 の ACC2 端子の AF入力は、電圧を測ってみると
DC 電圧は掛かっておらず、DC カットされているようです。
インターフェース基板から出力する信号も コンデンサ C44 で DC カットしてしまうと、
インターフェース基板 ー リグ間を接続するケーブルの電位がフローティングとなり、よろしく無さそうです。
なので、C44 をショートして、インターフェース基板の出力信号を DC 直結で出力するように変更しました。

インターフェース基板の音声入力のインピーダンスは、100 kΩ (R25) としています。
これは、TS-590 や TS-2000 の ACC2 端子 AF出力のインピーダンスが 10 kΩ であり、
インターフェース基板の入力信号レベルをなるべく落とさないようにするためです。
R25 をもっと高くすれば、入力信号の減衰は減りますが、外乱ノイズに影響される懸念があるので、
取りあえず 100 kΩ で様子を見ることとしています。
(2020/6/7 追記)
TS-590 や TS-2000 のサービスマニュアルの回路図を見ると、ACC2 端子の AF 出力は
エミッタフォロワ出力であり、
低インピーダンスであることが解りました。
取扱説明書では、AF 出力の受け側 (外部の装置) のインピーダンスが 10 kΩ のときの振幅を
記載しているものと理解しました。
なので、インターフェース基板の音声入力インピーダンス R25 を 10 kΩ に変更しました。

 



この週末、出来上がった基板と TS-2000SX および TS-590S を組み合わせて、試験的に QSO してみました。

Ver.2 と比べて、ゲインはほとんど変えていないので、AF から入力するデータ通信モードに関しては、
リグ、PC、WSJT-X などの設定を、ほぼ Ver.2 と同じ条件で使うことができました。
WSJT-X から出力したテスト信号 (1500 Hz シングルトーン) をリグの送信モニターで聴いてみましたが、
AF 信号の歪みやノイズ、回り込みなどは特に感じられませんでした。
(普段の運用でも、TX MONI を ON にして ヘッドホンで送信音をモニタしています)
また、CW、RTTY も、問題なくキーイングすることを確認しました。
これで一応、全ての機能が特に問題なく動作することが確認できました。

 



今日は、7 MHz の FT8 で一時間ちょっと運用をしましたが、特にトラブルも無く、
調子よく QSO ができました。
交換したレポートも、いつもと同じような感触でしたので、たぶん問題ないと思います。

 


ということで、一応 デジタルモード用インターフェース Ver.3 の基板はこれで完成です。

最後に、Ver.2 と同じように基板の上下をアクリル板で鋏んで仕上げとしました。

20200315_0001


最終的な回路図は、以下のとおりです。
(図をクリックすると、多少大きく表示されると思います)

20200315_0002


ほとんど最初の回路のままで行けました。
ノイズ対策用に銅箔テープは貼りましたが、基板の配線パターンを切った貼ったする必要は無く、
割と見栄えも良くできてラッキーでした。


関連記事
デジタルモード用インターフェース Ver.3 (絶縁型) の製作 (その2)
デジタルモード用インターフェース Ver.3 (絶縁型) の製作 (その1)
絶縁型デジタルモード用インターフェースの製作準備が整いました

2020年3月14日 (土)

TS-590Sのファームウェアアップデート (2.04から2.05へ)

一昨日の 3/12、Kenwood より 「アマチュア無線機器ファームウェア更新情報」という
メールが届き、TS-590S/D/V の最新ファームウェア 2.05 がリリースされたことを知りました。

アップデート内容としては、
<以下引用>
 1.スプリット転送で他の無線機と接続している場合、タイミングによっては正しく電源が
  
OFFできない場合がある不具合を修正しました。

<引用ここまで>
とのことで、二台のリグを接続して使っていない私にとっては、特に恩恵があるものでは無さそうです。

しかし、最新のファームウェアにしておいた方が精神衛生上よい感じがしますので、
取りあえずいつもの手順でファームウェアのアップデート作業を行いました。


まずは、現状の設定をコントロールソフトウェア ARCP-590 でバックアップを取ります。

次にアップデート前にファームウェアのバージョン確認。
現状は 2.04 です。

20200314_0001


アップデータを実行し、ファームウェアをリグに転送します。

20200314_0002


数分でアップデートが完了し、無事にファームウェアのバージョンが 2.05 になりました。

20200314_0003


そして、オールリセットをした後に、バックアップしておいた情報をARCP-590 で TS-590S に戻します。
これで、ファームウェアのアップデート作業は完了です。


生産完了品に対しても、ファームウェアのサポートを提供してもらえるのは、大変ありがたいことと思います。

2020年3月 8日 (日)

デジタルモード用インターフェース Ver.3 (絶縁型) の製作 (その2)

残りの部品も実装し、ようやく基板が組み上がりました。

20200308_0001

基板が出来上がったところで、動作や特性の確認を行いました。
結論としては、当初の回路で取りあえず動作はして、そのままで FT8 での交信もできました。

 

◆◆ 基板の動作確認 ◆◆
① 回路電流
無負荷、通信信号無しの状態で実測し、217 mA でした。
IC のデータシートなどから計算した電流値は 244 mA ですので、まあ妥当な値だと思います。
また、RS-232 の負荷を接続したり、信号を通信したりしても、まず 500 mA を超えることは無いと思われます。
MAX3232 の TXD 出力電圧は、±6 V で、RS-232 の負荷抵抗 (規格の標準値) は 5 kΩですから、
RS-232 の負荷電流は、せいぜい 1 mA 強といったところだと思います。
なので、USB のバスパワーでも使用できそうですので、安心しました。


② 回路の主要箇所の電圧
電源電圧、バイアス電圧などは想定内の値であり、特に問題はありませんでした。
トランスのドライブを DC 直結することを検討するため、トランスの二次側の片端をバイアス電圧に切り替え、
C32 とC37 のそれぞれの両端の電圧 (下図) を測ってみたところ、どちらもほぼ 0 mV (0.1 mV 以下) でした。

20200308_0002
したがって、C32 および C37 をショートして DC 直結しても、トランスに電流は流れません。
取りあえず、DC 直結するようにしました。


③ RS-232 通信
RIG (TS-590 および TS-2000) との接続確認を行い、通信できていることが確認できました。
HAMLOG での周波数取り込みWSJT-X での CAT 制御が、問題なくできています。


④ PTT 制御
TS-590 および TS-2000 と WSJT-X との組合せで、PTT 制御ができていることを確認しました。
RTTY と CW は未確認ですが、PTT と回路構成が同じなので、恐らく問題ないものと考えています。


⑤ Audio 信号 (周波数スペクトル)
DIN コネクタの部分で入出力を短絡し、ループバック試験をしてみました。
ローパスフィルタの信号通過帯ゲインを 0.2 倍としていますので、この部分でオーディオ信号が 14 dB 減衰します。
ループバックで往復すれば 28 dB 減衰し、USB Audio コーデック IC に帰ってくる信号のレベルがかなり小さくなります。

WSJT-X でよく使う 1500 Hz の信号では、目立った高次歪み成分やノイズ成分などは見られませんでした。

20200308_0003


1000 Hz
でも特に問題はありません。

20200308_0004


500 Hz
では、僅かに歪み成分が見られますが、信号比で -70 dB 以下なので、まだ問題ないレベルかと思います。

20200308_0005


250 Hz
では、3次歪みが信号比 -60 dB くらいです。
20200308_0006


100 Hz
では、だいぶ歪み成分が大きくなり、3次歪みが信号比 -55 dB くらいです。

20200308_0007

トランスで低周波を通すのはしんどいのかも知れません。
データ通信の副搬送波で、極端に低い周波数で送信しなければ、
恐らく問題はないのではないかと思います。


⑥Audio 信号 (オシロスコープ波形)
1 kHz の信号を出力し、その波形を測定してみました。
下の写真のように、かなりノイズが重畳した波形になっています。
20200308_0008


試しに、GND の波形も見てみました。
555 kHz ぐらいの周期で、バースト状のノイズ信号が乗っています。
IC 内部の DC-DC コンバータのスイッチング周波数が 625 kHz なので、
おそらくこれが見えているものと思われます。
プローブの自分自身の GND 点をプローブを掴んで測定していますが、
どうもプローブが1ターンコイルとなって、ノイズを拾っているようです。
※オシロスコープの周波数表示はデタラメです。
 横軸が 500 ns/div で、周期が 1800 ns 程度なので、周波数は約 555 kHz です。

20200308_0009


波形を拡大してみると、350 MHz ぐらいの高周波ノイズのようです。
※オシロスコープの周波数表示はデタラメです。
 横軸が 10 ns/div で、1目盛り当たり 3.5 サイクル程度の波形なので、周波数は約 350 MHz です。
20200308_0010


これは、絶縁用 IC の ADuM5402 が発しているノイズと思われます。
この IC のノイズ輻射が大きいことは、予め承知していました。
メーカーの情報では、IC 内部で約 180 MHz のクロック信号を使っており、
その高調波ノイズが輻射され、特に2倍高調波である約 360 MHz の輻射が
一番強いようです。
なので、電源ラインや信号ラインにフェライトビーズや貫通コンデンサを挿入するなど、
ある程度ノイズ対策を施していたつもりです。
ただし、GND は特に対策はしていませんでした。

色々いじっていると、IC を実装している基板の裏あたりを指で触ると、
ノイズの量に変化が見られます。

そこで、以下のような仮説を考えてみました。
ADuM5402 の前後で絶縁しているため、当然 GND も分離されています。
IC 内部で生成された高周波ノイズが、コモンモードループ
  GND1 → ・・・ → VDD1 → VISO → ・・・ → GNDISO
を形成しようとしますが、GND1 → GNDISO 間が分離されているため、
GND1 および GNDISO の銅箔パターンがダイポールのようなアンテナの働きをして、
ノイズを空間に輻射しているのではないかと。


20200308_0016


なので、GND1 と GNDISO を高周波的に結合 (短絡) させれば、ノイズの低減が見込めます。
指で触ったのも、ちょうど GND1 と GNDISO の間の部分だったので、
指を介して GND1 と GNDISO が緩く結合したため、ノイズ量に変化が見られたと思います。


さて、どのように対策するか、少し考えました。
極力短いループでノイズをリターンさせないと効果がありません。
メーカーでは、4層以上の多層基板で VDD1、GND1、VISO、GNDISO の銅箔パターンを
重ねることにより、バイパスコンデンサを形成させることを推奨しているようですが、
2層基板ではそのようなことはできません。
そこで、IC の近くおよび基板の裏面に、GND1 と GNDISO の両方に掛かるような形で、
銅箔テープを貼ってみることにしました。
銅箔テープは、ダイソーを何軒か回り、何とか見つけることができました。

20200308_0011


基板表面

20200308_0012


基板裏面

20200308_0013

ソルダーレジストの上からテープを貼っていますので、GND1 と GNDISO 間は導通していません。
絶縁耐圧も特に必要な訳ではありませんので、問題にはならないと思います。


結果は非常に良好でした。
1 kHz 正弦波の出力波形です。
ノイズがかなり軽減されています。
オシロスコープの輝度が高いので、波形の回りがノイズっぽく写っていますが、
実際はかなり綺麗なトレース曲線になっています。

20200308_0014


GND のノイズ波形です。
625 kHz のバースト状ノイズも見えなくなっています。

20200308_0015


今回、折角絶縁しているのに、高周波をバイパスさせる対策を取りました。
まあ、トランスによる絶縁も、高周波はスルーしているのではないかと思います。
なので、USB ケーブルやリグとの接続ケーブルにパッチンコアでも入れて、
高周波をカットするようにしたいと思います。

また、銅箔部分がフローティングのため、電位が不定です。
(高周波的には、中間電位になると思いますが)
GND1 か GNDISO のどちらかに接続した方が良いかも知れませんので、
今後の課題としたいと思います。
取りあえず、しばらくこれで様子を見ようと思います。

そこそこ上手くいきましたので、次は最後の仕上げをしていきたいと思います。

 

関連記事
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2020年3月 1日 (日)

デジタルモード用インターフェース Ver.3 (絶縁型) の製作 (その1)

基板や主要部品が揃いましたので、絶縁型のデジタルモード用インタフェースの作製に取りかかりました。


◆◆ 設計のコンセプト ◆◆
前作の Ver.2 に対して、キーワードは「絶縁型」としていますが、
CAT 用の RS232C インターフェースのオンボード化も今回の変更点です。

ネットを見ていると、自作品、頒布品、製品など種々デジタルモード用インターフェースがありますが、
それらを参考にしつつ、何か一つでもオリジナリティを盛り込むことができればと考えて、設計してみました。

他の自作品や製品と張り合うつもりもありません。
ただ、自分が使いやすいようなモノに仕上がれば良しとしています。
あまり万人受けするようなモノではないかも知れませんが、皆さんのご参考になれば幸いです。


◆◆ 回路図 ◆◆
現状 (暫定) の回路図は、以下のとおりです。
バスパワーで使用するため、あまり重要でない仕様は削り、電流はなるべく省くようにしています。
エレキーは実装していません。
RTTY、CW (PC からの制御)、データ通信に必要な最小限の機能になっているかと思います。
20200301_0001

◆◆ 使用部品 ◆◆
① USB ハブ
Genesys Logic 社の GL852G の 28 pin SSOP 品を使いました。
Ver.2 まで使用していた GL850G (28 pin SSOP) とピンコンパチですが、
GL852G は MTT (Multi Transaction Translator) に対応しています。
また、GL850G より若干消費電流が少ないです。
おそらく、信号処理的には GL850G の STT (Single Transaction Translator) でも問題無い
と思われますので、どちらかというと消費電流の少なさが Ver.3 での採用の決め手になりました。
さらに、前回までは 100 均 USB Hub の回路を丸ごとコピーしたものでしたが、
今回は回路を見直し、余計な部品は削除しました。

② USB オーディオコーデック
Texas Instruments 社の PCM2903C を使いました。
バスパワーで使用するため、Ver.2 で使用した PCM2906C でも良かったのですが、
歪み率を改善するために、3.3 V の電源端子 (VCCI) に約 3.6 V を印加する使用方法が
気に食わなかったので、IC を変えてみました。

③ USB / シリアル変換
定番である、FTDI 社の FT232RL を使用しました。
CAT 用と、RTTY / CW / PTT 制御用で、2 個使用しました。
FT2232 を使う方がスマートな設計なのでしょうが、クロックや外付け EEPROM を
用意するのが面倒くさかったので、安直に FT232RL の 2 個使いとしました。

④ 絶縁
音声信号の絶縁は、ラインドライバー用のトランス ST-71P を用いました。
RTTY / CW / PTT 制御の絶縁は、東芝製のフォトカプラ TLP624 を用いました。
以前作製した RTTY用インターフェース から部品取りをしました。
CAT 制御信号の絶縁は、Analog Devices 社の絶縁用 IC ADuM5402
Maxim 社の RS232 トランシーバ IC MAX3232 を使いました。
ADuM5402 は、絶縁二次側にも 100 mA 程度の電流供給ができます。
MAX3232 と音声信号用オペアンプにも電源供給しています。

⑤ 音声信号用回路
今回オペアンプは、Analog Devices 社の AD8656 を使いました。

◆◆ 工夫点 ◆◆
① トランス前後にバッファ回路を追加
以前にも実験しましたが、トランスの入力側や出力側の回路のインピーダンスにより、
トランスを通過する信号の周波数特性が大きく影響してしまいます。
特に、リグの種類や接続する部分によって、周波数特性が変わってしまうことが考えられます。
そのため、トランスの前後にオペアンプのバッファ回路を設けることにより、
前段や後段の信号インピーダンスに影響されないようにすることを目標としました。
懸念していた、絶縁二次側のバッファ回路は、ADuM5402 から電源供給することにより、
構成することが実現できました。

② トランス回路の DC 直結化検討
飽和の懸念があるため、トランスには極力電流を流さない方が良いと思われますので、
基本回路は DC カットするようにしています。
しかし、低域の周波数特性劣化をなるべく少なくするため、トランスと DC 直結できるように、
回路切り替えができるようにしてみました。
上手くいかないようでしたら、DC カットに戻すことができます。

③ RS232C はフロー制御も可能
RS232C 制御信号は、TXD、RXD のほか RTS、CTS 信号も、絶縁を介して
通信できるようにしました。
TS-2000 や TS-590 の RS232C 端子は、これら 4 本の信号しか出ていませんので、
おそらく問題なく通信できるのではないかと思います。


◆◆ 組み立て ◆◆
取りあえず、この週末は主に表面実装部品の取り付けを行いました。
リフロー処理できる環境にありませんので、全て手ハンダによる実装です。
20200301_0002

Step by Step で確認しながら組み立てていきました。
 ① 12 MHz クロックの出力確認
 ② USB ハブの認識 (Windows 10 のデバイスマネージャー上で)
 ③ RTTY / CW / PTT 制御用シリアルポートの認識 (Windows 10 のデバイスマネージャーで COM ポートとして)
 ④ RTTY / CW / PTT 制御用 FT232RL の EEPROM データ書き換え (TXD, RXD, RTS, CTS, DTR の極性反転)
 ⑤ CAT 制御用シリアルポートの認識 (Windows 10 のデバイスマネージャーで COM ポートとして)
 ⑥ Audio コーデックの認識
取りあえず、USB ハブ、シリアルポート、Audio コーデックを全て PC 上で認識できることが確認できました。
まずは、第一関門はクリアかなと思います。


この週末はここまでで、続きは次の週末のお楽しみとしておきます。

 

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