WSJT-X 2.1.0-rc5 の FT4 とはどんなものか
※WSJT-X 2.1.0-rc7 で仕様が変わりましたので、タイトルを変更しました。
-rc7 については、こちら で少し記事を書きました。
しばらく無線活動から遠ざかっていたら、知らないうちに WSJT-X も Ver 2.1.0 まで進んで、
FT4 という新しいプロトコルの通信信号が登場しているようですね。
コンテストモード専用に通信時間を短くした通信信号のようで、その仕様は、
・4FSK 方式
・通信速度は 23.4 baud
・1 回あたりの送信時間は 4.48 秒
・占有周波数帯幅は 90 Hz
とのことです。
このあたりは、WSJT-X のホームページからも参照できますし、ネット上で各局が既に紹介されておられます。
では、実際はどんな信号か気になるので、まずは音声で聞いてみました。
FT8 などに比べ通信速度が早いので、RTTY に近い感じと思っていましたが、意外に FT8 ぽい音のような感じがしました。
また、Wave Spectra を使って、信号の周波数構成も見てみました。
確かに 4FSK となっており、Tone Spacing は 23.4 Hz のようです。
したがって、最大周波数偏移は +23.4 × 3 = +70.2 Hz になると思います。
実際にカーソルを当ててみても、そのような結果になるので間違いは無さそうです。
最大周波数偏移が 70.2 Hz で通信速度が23.4 Hz であれば、
単純に占有周波数帯幅を FSK の近似式で求めると 110 Hz 程度になりますが、
それでも 90 Hz で収まっているのは、ガウシアンフィルタにより帯域制限されている
効果なのだと思われます。
諸元にいつも記載している最大周波数偏移よりも、むしろ占有周波数帯の方が重要で、
基準周波数 (上図の場合は 1,500 Hz) に対して、上下にどれくらい信号が広がっているのかを、
自身で認識 (確認) しておくことが大切なのではないかと思います。
オフバンドにならないようにするための、基準周波数の範囲を知っておくためです。
符号構成のところを見てみると、誤り訂正符号は LDPC (174, 91) とのことで、
情報のペイロード 77 bit、CRC が 14 bit だと思われ、これは FT8 と変わりません。
一方、送信時間が 4.48 秒、通信速度が 23.4 baud なので、
総データ長は 4.48 × 23.4 ≒ 105 bit になります。
LDPC で変換されたデータ 174 bit を 4FSK (2^2 トーン) で送ると、174 ÷ 2 = 87 bit。
残りの部分 18 bit (=105 bit - 87 bit) が同期信号などになるのだと思いますが、
FT8 ではこの部分が 7 bit × 3 = 21 bit だったので、同期信号を縮めて 6 bit × 3 にしたか、
または 9 bit × 2 にしたかの変更が加えられていると思われます (恐らく前者ではないか)。
同期信号が短い分、より送信時刻の正確性が求められているのでしょうね。
いずれにせよ、今のところデジタルモードのコンテストにはあまり興味が無いので、
急いで使ってみたいという気はありません。
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