« 2017年9月 | トップページ | 2017年11月 »

2017年10月の5件の記事

2017年10月29日 (日)

144MHz帯用 プリアンプの検討 (5)

144MHzプリアンプの試作品①は残念ながら失敗におわりましたので、
FCZコイル(相当品) 7mm角 を用いて試作品②を再設計しました。
このコイルは千石電商で入手したもので、AMZコイルと似ていますが別物のようです。
インダクタンスは、約180nHのようです。

入力共振回路のインダクタンスは180nH前後ですので、そのままコイルを置き換えるだけにしました。

出力側のバンドパスフィルタのコイルは、前回設計値とインダクタンスが大きく異なりますので、
今回はこの部分を再設計します。
回路としては寺子屋シリーズキットのプリアンプと似たような構成になるので、
これを参考にさせてもらいます。

バンドパスフィルタのインピーダンスを上げるため、出力信号は二段目のコイルの二次側から
取るようにしました。
コイルの巻き数比から換算すると、バンドパスフィルタのインピーダンスは800Ωとなります。
バンドパスフィルタの定数を計算してみると、Qをかなり下げないとだめでした。
求まった定数でシミュレーションしてみると、こんな感じになりました。

20171029_0002


GaAs FETの寄生容量や浮遊容量を考慮し、入手可能なコンデンサの値に変更して再設計した結果、
このような回路にしました。
電源電圧は 6V に変更しました。

20171029_0003

上記の回路図は、色々と実験した結果後の定数で記載しています。


寺子屋シリーズキットも参考にしながら、EAGLE でプリント基板を設計しました。

20171029_0004


組み上がった試作品②の基板はこんな感じです。

20171029_0005

20171029_0006

入出力部分は、SMAコネクタとしました。
RF部分のパスコンと出力のアッテネータ回路は、余計なインダクタンス分の影響を排除する目的で、
チップ部品を使いました。
ソース抵抗の62Ωも、チップ抵抗の方が良かったかと思います。
3216サイズの1000pFがすぐに入手できなかったので、今回は820pFとしています。


SMAコネクタとN型コネクタを繋ぐケーブルも作りました。

20171029_0007


ゲイン特性は、トラジェネ付きスペアナで測定しました。
調整はコイルのコアを回すだけです。
入力のLC共振回路は一段だけなので、コアを回すとそれに応じてピークとなる周波数が
素直に変化してくれます。
しかし、出力のバンドパスフィルタは二段の共振回路なので、調整が分かりにくいです。

バンドパスフィルタのシミュレーションの結果から、144MHz付近ではフラットな周波数特性
になると予想されます。
入力共振回路のコアを回したときに、ピーク値の変化が144MHz付近で最大かつフラットと
なるように、出力回路の二つのコアを調整しました。イマイチな調整方法かもしれませんが。


調整後の測定結果はこんな感じです。

20171029_0008

20171029_0009


トラジェネのレベルは-40dBmなので、ゲインは19dB強です。
出力に3.6dBのアッテネータを入れていますので、アンプ本体のゲインとしては約23dBあり、
まあまあなのかなと思います。
ただし、NFがいくらなのかは分かりません。

調整の仕方によっては、144MHz付近でもっとゲインが上がりますが、恐らく発振しているか
もしくは発振寸前の不安定な状態なのではないかと思います。


リグ (TS-2000) にも繋いで聞いてみました。
ちゃんとしたアンテナが準備できなかったので、2X209のラジエータ (単体) を使いました。
2X209のラジエータは、室内で手持ちの状態です。

TS-2000 の "PRE" と比較してみましたが、ゲイン、S/N とも今回作製のプリアンプの方が
少し良好な感じがしました。
Sメータも振らず弱く入感している信号が、浮き上がって聞こえてきます。
ただし定量的な測定をしたわけではなく、聴感上での比較です。


2X209のラジエータを色々動かしたりしていると、Sメータが触れるぐらいにノイズレベルが
大きく上昇することがありました。
入感している信号は、ザーッというホワイトノイズ音に埋もれてしまいます。
プリアンプの試作品②、TS-2000 の "PRE" とも同じ傾向です。
ただ、Sメータの変化で比較すると、TS-2000 の "PRE" の方が、同じ条件でもノイズ上昇変化が
大きかったです。

恐らくアンテナのインピーダンスが変化し、その結果GaAs FETに入力されるインピーダンスが
最適NF条件から大きく外れることによるものと思われます。
送信だけで無く、受信としても、アンテナのインピーダンスマッチングが重要であることを体感できました。


プリアンプの試作品②は取り敢えずこれで良しとし、これからは切り替え回路を追加して
ケースに組み込んでいくことにします。

2017年10月28日 (土)

144MHz帯用 プリアンプの検討 (4)

しばらく時間が空いてしまいましたが、その間にプリアンプを試作して動かしてみたりしていました。
プリアンプのGaAs MESFETは、取り敢えず3SK241で試してみました。

20171029_0001

一応プリント基板を作りましたが、コイルがGNDパターンや他の部品などと影響しないようにと、
少しスカスカな配置にしています。
また、仮組立てのつもりだったので、抵抗やコンデンサのリード線は少々長めのまま半田付けしています。


まず最初に、バイアス電圧などのDC電圧からチェックしました。
ゲート2の電圧は約1.8VでOKでしたが、ソース電圧はソース抵抗82Ωに対し約0.65Vであり、
よってドレイン電流は約8mAと設計値より低い値でした。
今回使用した3SK241は、おそらくIDSSの低い個体だったと思われます。

そこでソース抵抗は62Ωに変更し、ドレイン電流を10mA強に修正しました。
それに合わせて、ゲート2の電圧も約1.65Vに変更しました。


次に、トラッキングジェネレータ付きのスペアナでプリアンプの周波数特性を見てみましたが、
写真を撮るのも恥ずかしいぐらいボロボロの特性でした。
無入力にすると80MHzぐらいで発振していますし、トリマーコンデンサを調整してみても、
144MHz付近でゲインのピークが見つかりません。

コンデンサの定数を変えたり色々と試してみましたが、全く上手くいきません。
原因はいくつか考えられますが、一番はコイルのインダクタンスが全く合っていないことだと思われます。
本来ならトロイダルコアのAL値と巻き数でインダクタンスが求まるはずですが、
アンテナアナライザでインダクタンスを測ってみると、かなり高めに仕上がっているようでした。

144MHzのFCZコイル(相当品)も入手していたので、試しに入力回路のコイルをこれに換えてみると
設計に近い特性になりそうな感じでした。

あとは、部品のリード線が長いことや、基板の部品配置も良くないように思われますので、
これらの見直しが必要です。

プリアンプの試作品①は失敗に終わりました。
というわけで、FCZコイル(相当品)を用いて、試作品②へ設計変更することにしました。
続きは、144MHz帯用 プリアンプの検討 (5) で。
トロイダルコアを用いたコイルのインダクタンスが合わないことは、今後の課題です。

2017年10月10日 (火)

6m AND DOWN コンテスト 2017 の結果

本日、6m AND DOWN コンテスト のLog Check Reportがメールで届きました。
ということは、結果も発表されています。


今回は2局ミスコピーがあったということで、2点減点されました。
(このうち1局のミスコピーは、ちょっと納得いかないですが...)
まあ、修行が足りないということで、ちょっと反省です。


結果はイマイチで、C430部門の3エリア内9局中4位。


1エリアや7エリアとQSOでき、そこそこ楽しめたと思いますので、これはこれで良かったです。

2017年10月 8日 (日)

全市全郡コンテスト 2017

三年連続で144MHz CW部門に参加しました。

ほぼ一ヶ月ぶりにオンエアしましたが、何かコンテスト参加に対する意欲が湧かず、
取り敢えず参加だけはしたという感じです。

初日は21:00からスタートしましたが、QSO数は伸びません。
日付が変わり、バンド内が寂しくなったのを機に、長期休息タイムに入りました。

二日目の朝はゆっくりと8:00前から再開。
QSOの伸び悩みは変わらないので、10:00過ぎに再び休息。
その後、昼前から外出して大阪界隈を歩き回わり、夕方くたくたになって帰ってきました。

18:00から再々開するも、時既に遅しという感じ。
完全戦意喪失で、19:00前には終了。リグ、アンテナを撤収してしまいました。


20171008_0001


結局、66QSO×58マルチで終了しました。

20171008_0002


今回も、1エリア (JH1PVJ/1局) とQSOできました。

20171008_0003


やっぱり、TS-2000 の耳が悪いのか、ノイズに埋もれて聞き取りにくい局が何局かありました。
IF width を絞り、NR2 を掛けて、ようやくフワフワと信号が浮かび上がってきて、QSO に到った
ケースもありますが、全く取れずというのもありました。
何度もコールしていただいたり、ナンバーを繰り返し送信いただいたり、迷惑を掛けてしまっています。
現在検討中のプリアンプは、早く作らねばと思いました。

取りあえず、ログは提出する予定です。

2017年10月 1日 (日)

144MHz帯用 プリアンプの検討 (3)

GaAs FET の最適な入力インピーダンスを色々調べてみましたが、
取りあえず 3000Ω で設計してみることにしました。
参考にさせていただいた資料は、WA5VJB 局が書かれた
GaAs FET Pre Amp Cookbook #3 です。

ということで、50 Ω → 3000 Ω にインピーダンス変換する入力回路を、
L マッチ + LC 並列共振回路で構成して設計してみました。

出力回路と同じように、Excel で計算して値を求め、Qucs でシミュレーションしてみました。

20171001_0001

若干インピーダンスにズレがあるように見えますが、誤差の範囲でしょう。


次に、実際入手可能な部品の定数に置き換えていきます。
インダクタは出力回路と同じく、トロイダルコアを用いた固定インダクタンスのコイルとします。

入力部分に、過大入力保護用のダイオード (1SS272) を追加する予定です。
この分の寄生容量 (Typ 0.9pF × 2個) も組み込んでおきます。

20171001_0002

周波数特性です。

20171001_0003

スミスチャートです。

20171001_0004

若干のズレはありますが、問題ないと思います。
取りあえず、まずこれらの定数から実験を始めてみようと思います。


ということで、昨日ですが日本橋で部品を買ってきました。
ですが、家に戻って一部抵抗を買い忘れたことに気付きました。残念!!

« 2017年9月 | トップページ | 2017年11月 »