50MHz 2エレV型ビームアンテナの製作
この週末、久しぶりにアンテナ工作をしました。
以前、50MHz 2エレΣビームアンテナを作ったものの、
エレメントを折り返しているためベランダ内での取り回しが悪く、
その後あまり使わなくなってしまいました。
エレメントを折り返さないV型ビームアンテナだと取り回しは改善されるし、
ベランダから突き出ているエレメント部分の多い方が飛びも良いと思います。
最近はコンテストもシングルバンドで出ることが多く、
アンテナ同士の干渉も気にしなくてよいので、
取り急ぎ作ってみることにしました。
◆◆設計◆◆
設計はいつもどおり、MMANAを使用しました。
とにかく前へ電波を飛ばすためF/B比を優先することとしました。
ベランダに設置することを考慮し、
シミュレーションのGroundはRealの3mHとして合わせ込みました。
設計の手順としては、
①ラジエータ単体でエレメント長を調整。
50.3MHzでリアクタンス分(jω)がゼロとなるよう追い込む。
②リフレクタを配置。
エレメント長は一旦ラジエータの1.05倍程度とする。
F/B比が最大となるよう、エレメント間隔を調整。
③F/B比を見ながら、リフレクタのエレメント長を調整。
④最後に50.3MHzでリアクタンス分がゼロとなるよう、ラジエータを微調整。
そんな感じで、
ラジエータ長:1.434m
リフレクタ長:1.513m
エレメント間隔:1.050m
としました。
◆◆材料集め◆◆
材料は、2エレΣビームアンテナを極力流用することとし、
不足するブーム(20mm角×1.5mm厚×2m長のアルミ角パイプ)と
継ぎ足し用のエレメント(10mm幅×2mm厚×2m長のアルミフラットバー)を
買い足しました。
◆◆工作◆◆
ホームセンターで打っているアルミフラットバーは表面加工されているため、
単に重ねても電気的に導通しません。
そのためエレメントの接続部分はアルミ表面がむき出しになるまで削りました。
さらに念のため、接続部に導電性グリースを塗布しました。
加工作業は土曜日の夜まで掛かったので、
日曜日の朝からアンテナアナライザを用いて調整に入りました。
◆◆調整◆◆
調整の手順もMMANAの設計時と同様に、
①ラジエータ単体でリアクタンス分がゼロとなるよう調整。
純抵抗分は50Ωからほど遠くズレるが気にしない。
②リフレクタを設計値どおりに配置。
③リフレクタのエレメント長を調整。
④①と③を繰り返して、2エレの状態で50.3MHz付近でリアクタンス分をゼロに追い込む。
⑤インピーダンスマッチング回路とバランを付けて、インピーダンスを50Ω+0jΩ近くに持ってくる。
若干ラジエータ長の調整が必要なので、微調整する。
最初、設計値よりエレメントを長めにして作りましたが、
継ぎ足し部分のエレメントを詰めていった結果、
ほぼ設計値どおりのエレメント長で落ち着きました。
MMANAは素晴らしい!!
給電点のインピーダンスマッチングは、ヘアピンスタブです。
バランは以前作った強制バランを使いました。
◆◆リグに繋いでワッチ◆◆
完成したところでリグに接続。
SWRを見てみると、50.0〜50.5MHzでVSWR1.0とバッチリ。
比較のためアローラインも設置して、早々にバンド内をワッチ。
2エレV型ビームアンテナの方がノイズが強く、S7ほど振っています。
アローラインはS3ほどです。
バンド内をサーチしていると、
京都市内(フロントに近い方角)に移動している常連さんの
CQが強力に聞こえてきました。
2エレとアローラインを切り替えて比べてみると、
2エレの方がメーターで15〜20dBほど強いです。
一方で、JA2IGY(バックサイド方向だが、実際は建物の陰になっている)を聞いてみると、
アローラインだとS2〜3程度振るのに対して、2エレだとカスカスです。
また、兵庫県(これもバックサイド方向)に移動中の局では、
アローラインの方がS2ほど強く、ノイズが少ない分S/Nが良くて聞きやすいです。
2エレを回すとSが変わり、指向性を体感できます。
何となく、2エレのサイドが切れていることと、
アローラインは横方向に飛んでいるんだなということが実感できました。
◆◆ビームパターンの比較◆◆
そこで、シミュレーションで比較してみると、こんな風になりました。
まずは、2エレV型ビームアンテナ。
GroundがRealで3mHでのシミュレーション結果なので、
変なビームパターンになっています。
実はもっとサイドが切れる設計もできたのですが...
次に、アローライン(水平設置)。
これも3mHでの結果です。
2エレV型ビームアンテナは今回F/B比を最重視で作りました。
そのためF/S比はあまり良くないですが、アローラインと比べるとサイド方向は落ちています。
一方でアローラインは横方向に指向性があるし、打ち上げ角も高い。
まあワッチした結果と相違ないという感じです。
◆◆実際に運用◆◆
その後、JT65でJI3CJP局(滋賀県近江八幡市)とQSO。
アンテナを切り替えてデコードしてみると、
2エレの方がレポートで2〜3dB強いです。
アンテナ指向性と方角から考えて、まあ妥当な結果です。
また、夕方には、
JG3AJX(京都市山科区)
JE3TJS(京都市中京区)
JG3GNU(京都市左京区)
の各局とSSBでQSO。
皆様にご協力いただき、QSOの途中でアンテナを切り替えてレポートをいただきました。
概ね2エレV型ビームアンテナの方が、4〜20dB強いとのことでした。
各局ともアンテナに対してフロント方向なので、
やっぱり妥当な結果だと思われます。
◆◆使ってみた感想◆◆
基本的にアンテナは北向け固定となるため、
北西〜北東方向は2エレが有利なようですが、
サイドからバック方向(実際は建物の陰になってしまう)
となる大阪府や兵庫県などは、アローラインが優勢のようです。
2エレを回せる方向は限られているので、コンテストなどでは、
使い分けが必要だと思いました。
夏のEsなんかだと、2エレの方が良さそうです。
フロント方向だけですが、
2エレV型ビームアンテナの電波がアローラインより良好
ということが送受信で実感できたので、
今回の2エレV型ビームアンテナはまずまず成功だったと思います。
最近のコメント