すぐに使うわけでもありませんが、自宅の固定局にもようやく1.9MHzのF1Bが追加されました。
今回1.9MHzにF1B(RTTY)とJT65Aを追加しましたが、申請に添付する附属装置の諸元には、
「1.9MHzの送信は、占有周波数帯幅200Hz以下」とコメントしています。
F1B(RTTY)については8/23にも考察しましたが、通常の規格であるシフト幅170Hz(すなわち
最大周波数偏移±85Hz)と45.5ボーのままでは、占有周波数帯幅は200Hzを超えてしまいます。
ではどの程度まで、シフト幅や通信速度を下げたら200Hz以内をクリアできるのでしょうか。
F1Bの占有周波数帯幅に関する計算式が分からず困っていましたが、ようやく見つけました。
それは、ITU-R SM.328(Spectra and Bandwidth of Emissions)の中に記載されています。
F1Bの帯域外電力が1%、すなわち帯域内電力が99%となる占有周波数帯幅 L は、
$$\Large{L=2D+D\cdot (3-4\sqrt{\alpha})\cdot m^{-0.6}}$$
(D:最大周波数偏移、m:変調指数=2D÷B、α:相対立ち上がり時間)
と、ややこしい式になるそうです。ただし、これは経験的に導かれた式のようです。
αは符号が切り替わる部分の時間の割合と考えればよいと思います。
今回、私は一番厳しい条件すなわちα=0で計算しました。
これで、Lが200Hz以下になるD(または2D)を求め、1.9MHzではシフト幅は100Hz以下、
ボーレートは45.5Hz以下に限定するとして申請し、この度変更の審査が完了しました。
ところで、F1Bの占有周波数帯幅については、2M+2Dk (k=1.2)という見解もあるようです。
その根拠をネットで見つけることができませんでしたが、ITU-R SM.328で記載されている式と
比較してみました。
まず、ボーレートを45.5に固定して、占有周波数帯幅とシフト幅との関係を見ると、

α=0.04としたときと、概ね一致しています。
α=0.04が妥当な数値かどうかは分かりませんが、現実的にはα=0というのはあり得ないと思います。
すなわち、2M+2Dk (k=1.2) も経験的に算出された近似式で、あながち間違いではないということに
なるのではないかと思います。
カーソン則(2M+2D)で考えると、随分甘い結果になってしまいますので、こちらで考えるのは
良くなさそうです。
ちなみに、シフト幅が37Hz以下(ただしα=0のとき)だと、計算上占有周波数帯幅は100Hz以下になるので、
法改正前でも、1.9MHzでF1Bが許可された可能性があったかもしれません。
今となっては、検証のしようがありませんが...。
次に、シフト幅を170Hzに固定して、ボーレートと占有周波数帯幅との関係を見ると、

こちらは、ボーレートが低くなったときに、差が大きくなっています。
ボーレートを下げていったとき、直感的に考えても周波数帯幅は2Dに近づいていくことが
予想されますので、上記の計算式が正確なように思います。
以上の比較結果から、RTTYの帯域幅としては 2M+2Dk (k=1.2) で見積もっても良さそうな気がします。
ただ、JT65-Aなど、低ボーレートの場合には、上記の計算式で考えるべきかと思います。
上記のグラフから、1.9MHzで許されるRTTYのシフト幅は、100〜130Hz程度(但しボーレートが45.5のとき)
と思われます。
ただ、RTTYのメジャーソフト"MMTTY"で、設定できる170Hzより狭いシフト幅は23Hzと85Hzだけなので、
免許申請ではシフト幅85Hz以下とするのでも事足りるのかもしれません。
以上は、あくまでも今回私のケースで免許OKになったことを前提にした私見です。
この内容で、免許されることを保証するものではありませんので、あしからずご了承下さい。
何回かダラダラと記事を書きましたが、この話題はこれで落着です。
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