シュペルトップバランを作りたいが...
題目のとおりなのですが、同軸ケーブルに被せる網組み銅線の長さを
どうすべきか迷っています。
今までは、1/4λ×0.67(同軸ケーブルの短縮率)でOKと思っていましたが、
Web上でいろいろな方々の情報を拾っていくと、概ね三つの意見があります。
①1/4λ×0.67(同軸ケーブルの短縮率)
②1/4λ×1.0
③1/4λ×0.5(同軸ケーブルの保護被覆材を考慮した短縮率)
※保護被覆材が塩化ビニルの場合、0.5
そもそも、シュペルトップバランの動作原理が直感的に分かりにくいです。
平衡−不平衡を積極的に変換するものではなく、フロートバランのように
外部導体を流れる同相電流を阻止させる働きをさせるとのこと。
そのために、同軸の保護被覆の上から導体(網組み銅線など)を被せるので、
③が正解ではないかと思っているのですが、実験して確かめるしかないの
でしょうか。
シュペルトップバラン自体の測定方法も、Web上では見かけたりするのですが、
いまいち詳細が分かりません。
実際に平衡型のアンテナにつなぎ、同軸ケーブルに流れる同相電流を測りながら
調整するのが確実なんでしょうね。
そのためには、まず同軸ケーブルを流れる同相電流を測る道具を作らなければ
ならないです。機会を見つけて、ボチボチと準備したいと思います。
同じ同軸ケーブルを使ったバランでも、Uバランは動作原理が解りやすいので、
どう作るべきか割と明白なのですがね...。
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CSHさん 始めまして こげらと申します。ハムです。3エリア Aコールです。シュペルトップで悩まれているようですね。実は私も同じ疑問を持っています。現在144メガの3エレを作っています。バランはどうするかで悩んでいます。CSHさんはどんな周波数のバランを考えて折られるのでしょうか。いろいろと製作記事を見ますとほとんどは①の計算ですね。
②は珍しいですが①よりは良心的で理屈がわかった解説でしょう。
③は皆無です。
正解は③だと思います。
なぜかといいますと、シュペルトップを構成している伝送路は網線同士とそれにはさまれた外被であって、本体の同軸の短縮率はまったく無関係です。③のように外被の塩ビの誘電率がすべてです。塩ビは同軸メーカーの藤倉にも聞きましたがシースなので特に規定がないこと。また誘電率は、6~8 と巾があるという回答でした。
私の実験でも短縮率は0.35と言う結果になりあながちはずれでもなさそうです。ただ非常に実測が難しくてシビアな感じでした。
誘電率が4なら0.5ですが、このようにシビアなので実測されることを進めます。
いづれにしましても①は全く信じられないナンセンスは解説です。どこかで誰かが間違えたのでしょう。
投稿: こげら | 2012年9月18日 (火) 21時44分
こげらさん、初めまして。コメントありがとうございました。
私も144MHzのアンテナ(ヘンテナ)を作ろうと考えています。50MHz以下であれば
迷わずフェライトコアに強制バランを巻くのですが、144MHz以上では必要巻数と
巻線長のバランスが悪くなり周波数特性が悪くなりますので、シュペルトップバラン
のようなものに頼らざるを得ないですね。
このシュペルトップバランの動作原理は、いまいち納得できる理解が得られないの
ですが、非平衡電流の流出経路とそれを阻止するための構成を考えれば、仰るとおり
私も③と考えていました。短縮率0.5は当然保護被覆材(塩ビ)の誘電率で変わりますが、
Webで見かけたときは何かの文献から引用した誘電率4程度で計算されておられました。
ベテランの方や書籍を含め、大半が①で解説されており、それが当然のようになって
いますが、シュペルトップバランの付加効果(バラン有無での差異)まで突き詰めて
おられる方は見かけたことがなく、上手くバランが働いている「つもり」になって
しまっているのでしょうね。
シュペルトップバランの測定はどうするか思案していますが、144MHz用のものを
直接測るのは難しそうですね。同相電流計(自作予定)での測定も、144MHzぐらいに
なると厳しくなりそうなので、50MHz用で短縮率の検討をしてみてはと考えていた
ところです。
ただモチベーションが低下傾向なので、いつになるやらわかりませんが。
今回詳しい解説をいただき、非常に参考になりました。これからもよろしくお願い
いたします。実験しましたら、ブログにアップさせていただきます。
投稿: ji3csh | 2012年9月18日 (火) 23時28分
なるほど 50メガで確かめてもいいですね。私は測定は、網線を被せて両端開放のまま小さなコイルをつけてディップメータで計測していますが、これがなかなかできないです。周波数が高いのはやはり難儀します。大体見つかっても短絡すると長さが変化して周波数がずれます。シュペルは動作範囲が狭いらしくて作るのはかなり技術が入るようです。ピンポイントといわれるくらいです。
ですから安易に作ってごまかしても正常な動作とは程遠い状態のようです。コアの貫通型RF電流計を自作して、コモン電流を測るのがいいのですが、これも2mとなると検出が困難ですねえ。
今は別のバランとして、分岐導体で実験中です。コモン電流はかなり抑制できることがわかっています。
まあそれにしてもシュペルトップがいかにいい加減な作例がおおいこと。あきれてしまいます。
しかし2冊ほど確実な記事を見つけています。
ひとつは『キュビカルクワッド』JA1AEA著
もうひとつは入門ハムシリーズの『アンテナと測定器の作り方』CQ誌編集 です。いずれも外被を考慮した製作で納得です。③の考え方です。
投稿: こげら | 2012年9月19日 (水) 13時43分
こげらさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私もディップメータを使って、144MHzのシュペルトップを測定しようとしましたが、
コイルとのリンクが弱く、上手く測れませんでした。もっとも私のディップメータは、
アンテナアナライザMFJ-259B+オプションコイルで、リンクが弱くディップ点が
判りにくいとあまり評判の良くないものですから、余計に難しかったのだと思います。
ところでよくよく考えると、②は外側の編組導線を保護被覆材に密着させて被せるの
ではなく、少々太めのパイプを被せて隙間を持たせたようなときを想定し、空気の
誘電率を用いた短縮率なのかもしれませんね。これはある意味理論(原理)値なので、
正しい答えだとも言えると思います。
ご意見伺って、シュペルトップバランの短縮率に関してはスッキリしてきました。
50MHz用で実験するまでもなく、短縮率は③と理解しました。
また、シュペルトップバランはお手軽に作れますというのは間違いで、適当に作った
バランは単なる気休めにしかなっていないと思った方が良さそうですね。
シュペルトップは強制バランではありませんし、大きなインピーダンスを挿入して同相
電流を低減するものですから、1/4λ(相当)の同軸で共振させて如何に大きなインピー
ダンスを得られるかがポイントなのでしょうが、共振点がシビアであったり、寄生容量
などでインピーダンスが低下したりで、調整が難しいというふうに理解しました。
ご紹介いただいた分岐導体バランですが、ネット検索しても中々ズバリ解説している
ものが見つかりませんね。平衡−不平衡を変換する強制バランのようにも書かれている
ので、興味が湧きました。引き続き調べていきたいと思います。
投稿: ji3csh | 2012年9月19日 (水) 21時43分
こんばんは
②は空気中としても長さは電気長でなければならず、目的の周波数に同調させるには短縮率は必要です。
原理は1/4ラムダ伝送路の一端短絡のスタブですから他端から見れば無限大になる性質を利用しているのでわかりやすいと思います。
これと同じ原理で私は実験として、単なる2mm銅線を3cm間隔で約49cm(1/4ラムダ)を同軸に沿わせて一端を外被に接続してやって見ますと、バラン単体ではコモン電流はほとんど阻止できることがわかりました。同軸の上から全周に網を被せなくても動作はしてくれるようです。
ただ工作はやや複雑になりますがね。
ワイヤーアンテナではマルチにするために途中に入れてリニアトラップとして使われます。
投稿: こげら | 2012年9月19日 (水) 22時12分
さっそくありがとうございます。
②の1/4λは、物理長ではなく、当然ながら電気長なのですね。
1/4λの伝送路で片側短絡すると、一方の開放端がインピーダンス無限大に見えるのは
解りますが、シュペルトップバランの場合は、給電点において同軸の外部導体と同軸に
被せた編組線との間のインピーダンスが無限大になるのだと理解しています。
アンマッチによる不平衡電流は、編組線を通らずとも同軸の外部導体を抜けていく
ことができるのはないかと考えており、この無限大インピーダンスは効果が無い
ものではないかと思えるのです。ここが、シュペルトップバランの動作原理が直感的に
理解できない部分です。どこかに理解の間違っているポイントがあるのでしょう。
それと導線を沿わすだけで、結構効果があるのですね。
同様の原理を用いたスリーブアンテナでも、見かけたことがあります。
投稿: ji3csh | 2012年9月19日 (水) 22時41分
おはようございます
>シュペルトップバランの場合は、給電点において同軸の外部導体と同軸に
被せた編組線との間のインピーダンスが無限大になるのだと理解しています
これはそのとおりだと思います。被せた網線のアンテナ側は開放されています。そこから送信機側を見たインピーダンスが無限大になるということで、平行線でも筒型でも同じです。不平衡による同相電流が同軸の外部導体を流れようとしてもシュペルトップの回路は無限大なので阻止されて流れないというのが原理です。マッチしていないと無限大ではないので流れるでしょう。
シュペルトップがない場合同軸の外部網線はアンバランスのために表に同相電流が流れます。
裏側(同軸の外部網線の内がわ)にはノーマル電流引く同相電流が流れます。
すなわち同軸の網線の表裏には別々の電流が流れています。これは表皮効果で理解できます。
投稿: こげら | 2012年9月20日 (木) 09時56分
さらに申しますと、同軸の網線を流れている電流は裏側(内側)だけしか流れていないのです。アンテナの入り口でアンバランスによる同相電流が外側に回って編み線の表側にUターンして表面を流れてゆきます。
これが導体の表皮効果で理解できます。
ですから同軸の網線の内側から途中で表に抜けて行くことはないのです。
いろんな解説にはそういう図が書いてあります。
私はこのように理解しています。
投稿: こげら | 2012年9月20日 (木) 10時14分
こげらさん、こんばんは。詳しく解説いただきまして、ありがとうございました。
頭の回転が悪いので、正直なところまだ動作原理を理解できていません。
図があった方が解りやすいと思いますが、コメントには図を貼り付けられませんので、
新たに記事を起こそうと思います。
アップするのは、明晩もしくは土曜日になると思います。
図を書いてみて、ご教示いただいた内容も含め少し整理してみようと思います。
今回、シュペルトップバランの理解を深める良い機会だと勝手に思っております。
厚かましいお願いではありますが、もうしばらくお付き合いいただけないでしょうか。
投稿: ji3csh | 2012年9月20日 (木) 22時04分