ここのところずっと、データ通信モードでの交信がメインになっています。
FT8 の信号を受信していると、質の良い信号から程度の良くない信号まで、色々聞く (見る) ことができます。
程度の良くないと感じる信号は、ローカル局など信号強度が高いとき特に目立ちます。
二倍、三倍高調波を含んだ信号や、Windows の警告音が混じった信号などは論外ですが、
例えば、
・送信切り替え時に、「ポコ〜ン」と派手にポップ音が出る。
・送信切り替え後、信号送出開始までの一瞬、無変調時に「ゴーーー」と派手にノイズが出る
・送信切り替え後、信号送出開始までの一瞬、発振気味のようなノイズが出る
といったような感じです。
WSJT-X のウォーターフォール上では、なかなか分かりづらいです。
あくまでも推測ですが、リグに入力している信号がオーバーレベルになっているとか、
スピーチプロセッサが ON になっていることなどが、原因の一つになっているのでは
ないかと考えています。
かく言う私も、上記のような程度の悪い信号を出しているようであればお叱りを受けそうですので、
その辺は多少気を遣っているつもりで、リグの送信モニター音をヘッドホンで聴くようにしています。
先日、ローカルの JK3DGX 局に FT8 の信号をモニタしてもらう機会があり、信号を聞いてもらったところ、
「無変調でも送信状態になったことが分かりますよ」というレポートをいただきました。
今までリグのモニター音では気付きませんでしたが、無入力時のノイズが重畳されており、
S/N 比がそんなに良くないということに気付かされました。
ちなみに、デジタルモード用インターフェースからの信号は、TS-590 や TS-2000 の ACC2 端子に入力しています。
リグのモニターレベルを最大にして、WSJT-X の TEST CAT で PTT を ON にすると、
確かにウジャウジャとしたノイズが確認できます。
これは、TS-590 も TS-2000 もどちらにも共通しています。
デジタルモード用インターフェースを ACC2 端子に接続せず、全くの無入力状態で
同様の確認を行っても同じ結果が得られるので、インターフェース出力の S/N 比が悪いのでは無く、
ACC2 端子の音声入力端子の S/N が良くないものと思われます。
ACC2 の音声入力調整 (0 〜 9 で調整可) を小さくすると、そのノイズレベルは小さくなっていきます。
できるだけ送信信号の S/N 比を良くしようということで、ACC2 の音声入力調整
TS-590 : Menu 66 (ACC2 端子のオーディオ入力レベル設定)
TS-2000: Menu 50B (パケット AF 入力レベルの設定)
は最小値の 1 として、デジタルモード用インターフェースの出力信号レベルを調整するよう、
再考することにしました。
対処策として、デジタルモード用インターフェースの出力ゲインを変更することを検討しようと思います。
具体的には、現状出力回路のゲインが -0.2 倍になっているところを -0.5 倍に変えてみることです。
回路変更の箇所は下記のとおりです。

信号レベルは、Windows のオーディオレベルか WSJT-X の pwr で合わせ込めば良いかと考えています。
あと、入出回路のカップリングコンデンサの要否については、以前の確認が間違っていたので、
ついでに修正することにします。
下図は TS-2000 のサービスマニュアルからの抜粋ですが、赤のラインが PC → リグへの入力信号、
青のラインがリグ → PC への出力信号です。
入力信号は点線で囲ったとおり 12 kΩ (R508) でプルダウンされた形になっていますので、
5.6 kΩ (R776) + 3.9 kΩ (R775) とで抵抗分割されますが、インターフェース側は
カップリングコンデンサがあった方が良さそうです。
一方出力信号は、エミッタフォロワの出力がカップリングコンデンサで DC カットされていますので、
インターフェース側のカップリングコンデンサは無い方が良いと思います。

入力信号側は、ダイオード D713, D712 によるクリッパー回路が入っています。
2 × (2 × Vf) の振幅、周囲温度にも依存しますが、概ね 2.4 Vpp でクリップされます。
それ以上の振幅を加えてしまうと、歪み (主に奇数次?) が増え、送信信号の質を落としてしまいますね。
カップリングコンデンサだけは修正しましたが、抵抗が入手できていないので、
入力レベルの変更は少し先になりそうです。
なるべく綺麗な信号を送出できるように工夫していきたいです。
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