この週末は、430MHz帯用バランの組み立て、および調整をやってみました。
まずは、Uバランの調整から。
Uバランに使った同軸ケーブルは、フジクラ製の 3D-2V です。
同軸ケーブルでの損失を考えると、もっと太い同軸ケーブルを使うべきなのでしょうが、
取り回しが悪くなることと、長さがさほど長くないので、3D-2V で良しとしました。
同軸ケーブルの長さは 1/2 波長なので、433 MHz で合わせるとすると、
長さ $l$ は、$$l=\frac{300}{433 [MHz]}\times\frac{1}{2}\times0.67=0.232 [m] (ただし、波長短縮率は 0.67 とする)$$となりますので、30cm程度の 3D-2V を用意しました。
3D-2V の片端を NanoVNA に接続し、もう一方の片端はオープンのままで、インピーダンスを測定します。
1/2 波長の伝送線路だと、入力端と出力端は同一のインピーダンスに見えます。
したがって、NanoVNA の測定値が ∞ [Ω] になる長さが、1/2 波長ということになります。
3D-2Vを切り詰めていき、22.2 cm のときに 433 MHz 付近で出力端が高インピーダンスになりました。
ただし、22.2 cm 長 3D-2V の両端は、マイクロストリップラインに接続するため、1.5 cm 程度同軸ケーブルを剥いています。
(なので、合計長さは 25.2 cm になります)
⇒片端をショートで調整した方が良かったと、後から思いました。
(理論上はどちらでも同じなのでしょうが、オープンは色々と影響を受けやすいので)
一応これで、Uバランの材料は揃いました。
ちなみに、上記の結果から 3D-2V の波長短縮率を計算すると、0.654 になりました。
次に、先日作製したマイクロストリップラインにUバランを接続します。
3D-2V のポリエチレン絶縁体を通す穴は、φ3.5 mm で開けています。
3D-2V の外部導体 (編み線) は、長くならないよう近くの GND ベタパターンにハンダ付けしています。
マイクロストリップラインにUバランを取り付けたところで、
今度はマイクロストリップラインの長さを調整します。
正しい調整方法かどうかは分かりませんが、
マイクロストリップラインの出力端をショートさせ、入力端のインピーダンスを測定します。
マイクロストリップラインの長さは 1/4 波長としたいので、
出力端をショート (インピーダンス 0 [Ω]) させると入力端はオープン (高インピーダンス) に見えるはずです。
少々雑ですが、アルミ箔を使ってマイクロストリップラインをショートさせ、
N 型レセプタクルの付いている入力端のインピーダンスを測りました。
すると、Uバランの接続点から約 7 cm のところをショートさせると、
入力端が高インピーダンスになりました。
ちなみに、これは NanoVNA に何も繋がなかったときのインピーダンスです。
(付属のケーブル+SMA-JーNP 変換コネクタを接続して、キャリブレーションを行っています)
最後に、マイクロストリップラインの特性インピーダンスの調整です。
出力端に 50 [Ω] の負荷を付けます。
SMA-J コネクタに NanoVNA のキャリブレーション用負荷を取り付け、
リード線を使ってマイクロストリップラインに接続しました。
純抵抗負荷が望ましいのですが、ぴったりサイズが合う物が用意できません。
リード線の寄生リアクタンス分が影響する懸念がありますが、これで我慢しました。
マイクロストリップラインの幅が 6mm 有り、設計値 5.5 mm に対して若干太めでした。
このため、特性インピーダンスが少し低めになっていたようで、
入力端のインピーダンスは 42 [Ω] 程度を示していました。
なので、マイクロストリップラインを 0.5 mm 程度カットしました。
間隔は変えたくなかったので、外側をカットすることにしました。
その後、若干 50 [Ω] 負荷の位置を調整し、6.4 cm の長さで下図のようにまあまあのところまで来ました。
後は、アンテナに取り付けて、アンテナの調整をしたいと思います。
今回実験してみた感想ですが、
マイクロストリップラインの特性インピーダンスは計算値に近い値が出ているのが意外でした。
ただし、波長短縮率は計算値よりかなり低く、0.36〜0.4 程度になっているようでした。
今回の結果は、リピートする際のある程度の目安にはなると思います。
が、作りっぱなしではやはりダメで、一回一回調整は必要になってくるかと思います。
いずれにせよ、NanoVNA が無ければ、ここまではできなかったと思います。
今回作ったバランが、ゴミにならなくて済みそうなので、ホッとしています。
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