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カテゴリー「無線(アンテナ)」の65件の記事

2021年5月16日 (日)

Nano VNA でシュペルトップバランの波長短縮率を測ってみました

シュペルトップバランについては、もう9年ほど前に記事を書き、
OMからもいろいろと教えていただきました。
 シュペルトップバランを作りたいが...
 シュペルトップバランの原理が理解できず
 シュペルトップバランの原理をようやく理解

そのときに得た結論が、シュペルトップバランの波長短縮率については、
一般的によく言われている 0.67 ではなく 0.5 程度だということです。

ただし、前提条件として、
・シュペルトップバランは、同軸ケーブルのシース (保護被覆) に編組銅線を被せた構造で構成する
・同軸ケーブルのシース (塩化ビニル) の誘電率は 4 と仮定する

しかし、波長短縮率が 0.5 というのは、上記の前提条件、特にシースの誘電率が 4 と仮定した場合
に成り立つことであり、実際がどうなのかを調べることはしてきませんでした。

先日 Nano VNA-H4 を手に入れましたので、この波長短縮率がどうなっているのかを
ド素人の大雑把な測定ですが、見てみました。

 


準備したのは、お手頃な 50 MHz 用のシュペルトップバランです。

20210516_0001
20210516_0002

ちゃんと測定しようとするならば、測定ポイントの部分は何か治具を設けるべきですし、
同軸の両端もリグとアンテナを接続することを模擬して、50 Ω の抵抗で終端すべきだと思います。

今回はざっくり見るだけなので、シュペルトップバランの部分に関しては終端抵抗が無くてもおそらく影響は無いですし、
Nano VNA-H4 に同軸ケーブル経由で接続した変換コネクタに測定ポイントをビニールテープで仮固定する
という横着な仕様で測定しました。

なお、使用した同軸ケーブルは、関西通信電線製の 5D-2V です。
5D-2V のシースに被せる編組銅線はシースに極力密着させ、ビニルテープをキツくに巻きました。
5D-2V のシースに被せる編組銅線と 5D-2V の外部導体との接続部分は、しっかり密着させて、細い銅線でキツく縛りました。
この二点は、波長短縮率を測定する上で重要なことだと思います。

 


まずは、一般的に言われている波長短縮率 0.67、すなわち 50 MHz 用で 1 m のシュペルトップバランから測定しました。

測定するのは、アンテナに接続する側の
5D-2V のシースに被せる編組銅線と 5D-2V の外部導体 間のインピーダンスです。

周波数範囲は、30 MHz 〜 60 MHz としてみました。

20210516_0003

ちょっと見にくいかもしれませんが、インピーダンスが最大となる周波数は 42.917 MHz でした。
この結果から波長短縮率を計算してみます。

42.917 MHz の 1/4 波長は、$$\frac{\lambda}{4} = \frac{300}{42.197}\times{\frac{1}{4}} = 1.748 [m]$$よって波長短縮率 $\delta$ は、$$\delta = \frac{1}{1.748} = 0.572$$となりました。

ちなみに、この波長短縮率からシースの誘電率を逆算すると、$$\varepsilon_r = \frac{1}{0.572^{2}} = 3.06$$

これらの結果は、とある OM が実験された結果と一致し、あながち間違いではないと思われます。
http://www.takatoki.justhpbs.jp/garakuta/syuperu/syupe.html

 


では、波長短縮率を 0.572 として 50.2 MHz 用のシュペルトップバランを作ってみたらどうでしょうか。

シュペルトップバランの長さを計算すると、$$l = \frac{300}{50.2}\times{\frac{1}{4}}\times{0.572} = 0.855 [m]$$
シュペルトップバランを$0.855 [m]$長に切り詰めました。

このときの特性は、

20210516_0004

ちょうど 50 MHz でインピーダンスが最大です。
波長短縮率を逆算すると、 $\delta = 0.57$ となります。
まあ、誤差の範囲でしょう。

マーカーは、50 MHz、52 MHz、54 MHz に設定しています。
インピーダンス最大点 50 MHz でのインピーダンスは 267 Ωです。

トロイダル・コア活用百科によると、同相電流の阻止インピーダンスを目的としたフロートバランは
特性インピーダンスの約 60 倍、すなわち 50 Ω 系だと約 3 kΩ のインピーダンスが必要とされています。
また、コモンモードチョークのインピーダンスも、3 kΩ 以上を目標としています。

このことを考えると、測定がいい加減な点を差し引いても、267 Ω という値は
同相電流の阻止インピーダンスとしてはかなり低いと思います。
当然ながら、周波数依存性も有ります。
これならば、トロイダルコアにバイファイラ巻きしたものや、パッチンコアを複数個噛ました
フロートバランの方が、より高い阻止インピーダンスが得られるのではないかと感じます。

 


以上の結果は、関西通信電線製の 5D-2V を用いた 50 MHz 用のシュペルトップバランという条件下です。
シースの誘電率に周波数依存性があるならば、周波数が変われば波長短縮率は変わります。
また、同じ 5D-2V でもメーカーが異なると違った結果が得られることも考えられます。
さらに、同軸ケーブルの種類、例えば 5D-FB だとシースの材質も異なりますので、当然波長短縮率も変わってきます。

シュペルトップバランの波長短縮率が 0.5 だとか 0.57 だという、
数値だけが一人歩きすることを危惧します。
いずれにしても、
実際に作製した後に実測して調整することが必要かと思います。


シュペルトップバランはお手軽なバランとしてよく紹介されていますが、
キチンと作ってキチンと調整する必要があり、
決してお手軽ではないように感じるようになりました。
お手軽に作ったシュペルトップバランは、気休めにもなっていないように思います。

2021年5月10日 (月)

Nano VNA-H4 を買いました

Nano VNA-H4 を買いました。
今さらなのかも知れませんが...

 


新しく 430 MHz 帯のアンテナを作ることを考えており、
調整にはアンテナアナライザが欲しいところです。

ところが、手持ちの MFJ-259B は 170 MHz までしか対応しておらず、
持っている測定器はダイヤモンドの SX-40C という SWR メーターしか有りません。

これまで 430 MHz 帯のアンテナを作るときは、この SWR メーターを頼りに、
特性を調整していたのですが、やはりもう少し詳細なパラメータが知りたいです。

ということで、Nano VNA が欲しくなり、しばらくインターネット上の情報を調べていました。

 

Nano VNA はいくつかモデルがあり、サイズや仕様がちょっとずつ違うようです。
どれを選んだら良いのか迷っていましたが、フォロワーさんからアドバイスをいただきまして、
画面の大きい Nano VNA-H4 に決めました。

 


ネット通販で、変換コネクタと共に注文しました。
商品は、5/8 (土) に届きました。

20210510_0001

 

液晶画面の端っこの方に浮きが見られたり、表面が汚れや細かいキズがたくさんあったので、
質の悪い個体に当たったのかと思いましたが、どうやら保護用のシートが貼ってあっただけのようでした。
ダイソーで iPhone 用の保護フィルムを買ってきて、それをカットして Nano VNA-H4 に貼り直しました。

変換コネクタは、
 SMA-P ー M-J (下図 左)
 SMA-P ー BNC-J (下図 中央)
 SMA-P ー N-J (下図 右)
の三種類を買いました。

20210510_0002

本体の SMA コネクタに直接取り付けることを前提に調達しましたが、
付属のケーブルを使用するのであれば、SMA 側は -J でも良かったかもしれません。

 


使い方は、インターネット上にたくさん情報があります。
この記事では省略します。

 

試しに、以前自作した 144 MHz と 430 MHz のアンテナの特性を見てみました。

① 144 MHz 5エレ八木

20210510_0003

バンド内の特性 (SWR、抵抗分、リアクタンス分) が表示されています。
特性も SX-40C の測定値や、FT-991AM の SWR 表示とほぼ合致していますので、
アンテナ製作程度なら使い物になりそうです。

② 430 MHz 7エレスクエアループ

20210510_0004

こちらも、SX-40C や、FT-991AM とほぼ同じ測定値を表示しています。
430 MHz 帯のアンテナ製作には、強力な武器になりそうです。

 


まだまだ使いこなせていませんので、いじりながらちょっとずつ覚えていきたいです。
以前作ったプリアンプの周波数特性なども測ってみたいです。

2020年7月27日 (月)

50MHz用強制バランの製作記事について

ありがたいことですが、50 MHz 用 強制バランの製作記事へそこそこアクセスいただいています。

 50MHz用強制バランの製作 2

ただ私の文章力の無さから、
 この強制バランでアンテナの VSWR を改善させることが目的である
との誤解があるのではないかという懸念があります。

ある意味間違ってはいないかも知れませんが、この記事を書いた目的は、
「強制バラン単体での VSWR を1.0 に近づけること」
です。記事の冒頭にも追記しました。

理想の 1 : 1 強制バランは、50 Ω の不平衡端と 50 Ω の平衡端を変換するものだと思います。
よって、片端を 50 Ω で終端すると、反対側の片端からみた VSWR は 1.0 になるはずです。
記事の中でこだわっている VSWR は、この VSWR のことです。

 


アンテナはアンテナで (バランを接続せず) 給電点で 50 + 0j Ω に調整されていて、
バランはバランできれいに 50 + 0j Ω ⇔ 50 + 0j Ω の平衡ー不平衡 変換動作をする、
これが理想的な動作ではないでしょうか。

まあアマチュア無線なので、理想的な強制バランの動作をしていなくても、
アンテナ+バラン込みで VSWR が 1.0 に調整されていればそれで良しかもしれません。
バランがインピーダンスマッチング動作をしているかも知れませんが、
アマチュア無線を楽しむ上で、実使用には問題ないと思います。

ただ、キチッとした物も作ってみたいというのも楽しみの一つかと思い、
上記の記事を書いてみた次第です。

2019年10月 6日 (日)

430MHz 7エレ スクエアループアンテナの給電部 修理 2

先日 430 MHz 7 エレ スクエアループアンテナの給電部を修理 しましたが、
エレメント長の調整も兼ねて、もう少しいじってみました。

 


編組線側の配線を、0.5 mm 厚の銅板に変更しました。
ホームセンターで銅板を探しましたが、大きなサイズのものしか置いておらず、勿体ないです。
ホビーショップで彫刻用の小さな銅板 (100 mm × 50 mm × 0.5 mm, 2枚入り) を買いました。
これで大きさは充分です。
30 mm × 10 mm に切断して、使用しました。

 

出来上がりは、こんな感じです。

20191006_0001

 


アンテナの VSWR のボトムが 約 436 MHz なので、ラジエータのエレメントを少し伸ばす必要があります。
(計算上は約 6 mm)
仕方ないので、アルミフラットバーを買ってきて、作り直すことにしました。

作り替えたエレメントに取り替えて VSWR を測定すると、大体計算どおりに約 432 MHz で VSWR のボトムが
約 432 MHz となっており、430.5 〜 434 MHz 付近で VSWR が 1.1 ぐらいです。
取りあえずこれで良しとしました。

防水も兼ねて、給電部をホットボンド (グルー) で固めました。

20191006_0002

 


動作確認も兼ねて、430 MHz の FT8 で 7 QSO しました。
FT-991A で運用しましたので、移動局のコールサインでの QSO です。
結果はまずまずだったと思います。

2019年9月23日 (月)

430MHz 7エレ スクエアループアンテナの給電部 修理

430 MHz 7 エレ スクエアループアンテナの記事 にコメントをいただいたので、
私も久々にオンエアしてみようかと思い、アンテナの組み立てをしようと準備していると、
ラジエータのエレメントに直接接続していた同軸ケーブルが、ポロッと取れてしましました。

アンテナを片付ける度に、給電部が折り曲がるような形になってしまい、
とうとう圧着端子の根元部分が脆くなって、ちぎれてしまったようです。

20190923_0001

以前から、このアンテナの給電部はイマイチと思っていましたので、
そのまま同じように同軸ケーブルを付け直すのでは芸が無いと思い、
N型コネクタ (レセプタクル) を介して同軸ケーブルとラジエータのエレメントとを
接続するように変更しました。

 


エレメントはアルミなので、通常のハンダ付けはできませんし、
さてどのような構造にしたらよいかちょっと悩みました。
(アンテナ製作当初からちょっと考えていたのですが、先送りにしていました)

レセプタクルを支える板をエレメントクランプに固定し、
圧着端子と短い銅線で配線することを考えましたが、
支持材選びが悩みどころです。

加工性を考えるとプラスチック板が良いのですが、ハンダ付け時に溶ける恐れがあります。
木材板にしようかとも思いましたが、耐候性や強度の面でちょっと不安があります。
金属板は、アンテナの特性に影響を与えてしまいそうです。

悩んだ末、ダイソーで買ってきた 2 mm 厚のプラ製まな板 (ポリプロピレン製) にしました。

 


5 mm × 3.5 mm の大きさにまな板を切り、レセプタクルを取り付ける穴を開けます。
今回加工する支持材の材質はポリプロピレンですが、削りくずが静電気でくっ付くことも少なく、
エレメントクランプで使ったポリエチレンよりは扱い易い感じです。

M3 ネジで、エレメントクランプと支持板を固定します。
支持板とレセプタクルも M3 ネジで 2 箇所固定しました。
残り 2 箇所は、エレメントクランプとエレメントを固定しているタッピングビスと
干渉するおそれがあるので、この部分は取り付けませんでした。

20190923_0002

 

まず、レセプタクルを支持板に取り付ける前に、編組線側のハンダ付けをします。
そして、レセプタクルを支持板に取り付け、芯線側のハンダ付けをします。
最後にタッピングビスで、圧着端子、エレメント、エレメントクランプを固定して終了です。
(順番を間違えると、エレメントクランプや支持板が溶けてしまいます)

20190923_0003

まだイマイチ感はありますが、当面はこれで凌ごうと思います。

 


台風の影響で風が強く、アンテナ設置状態での動作確認がすぐにできません。
室内で SWR を測ってみたところ、433 MHz で約 1.2 でした。
中心周波数が、若干高めになっているような感じでした。
風が治まったら、ベランダに設置して測り直してみたいです。

 


夕方になって風が治まったので、7エレ ループアンテナをベランダに設置してみました。
436 MHz 付近で SWR が最小になり、約 1.1 です。
430 MHz 付近では、SWR は約 1.5 です。
もう少し低め (中心が 432 MHz 辺り) に調整したいところなので、
改めてエレメントを作り直したいと思います。

再調整が済んだところで、給電部分の防水対策を考えたいと思います。

2018年2月25日 (日)

ヘアピンマッチの計算 (備忘録)

プリアンプを作っているときに、何回か L マッチの計算をしました。

◆◆ Lマッチについて ◆◆

トロイダル・コア活用百科にも記載がありますが、ハイパス型だと、
20180225_0001
$$Q=\sqrt{\frac{R_{2}}{R_{1}}-1}
\\X_{C}=R_{1}\cdot Q(\Omega)
\\X_{L}=\frac{R_{2}}{Q}(\Omega)$$となります。

なぜそうなるのかは、一度計算してみました。
高校1年の数学レベルで解けます。
虚数の計算と恒等式が解っていれば、計算自体はそんなに難しいものではありません。


◆◆ マッチング回路の計算 ◆◆

ここで、以前にヘアピンマッチの設計をしたことを思い出しました。
そのときは、アンテナインピーダンス $20\Omega$ を給電インピーダンス $50\Omega$に変換するものでした。

このハイパス型 L マッチを、
 $R_{ 1 }$ をアンテナインピーダンス
 $R_{ 2 }$ を給電インピーダンス
 $L$ をヘアピンスタブ
 $C$ をアンテナの容量性リアクタンス (共振長より短い状態)
と見立てると、ヘアピンマッチと同じ形になるので、計算式に当てはめて算出することができます。

$R_{ 1 }=20(\Omega)$, $R_{ 2 }=50(\Omega)$
とすれば、
$$Q=\sqrt{\frac{50}{20}-1}=1.225
\\X_{C}=20\times1.225=24.48(\Omega)
\\X_{L}=\frac{50}{1.225}=40.84(\Omega)$$となります。

これは、当時スミスチャート、イミッタンスチャートからはじき出して
「アンテナ側にX=-25Ωの容量性リアクタンスを付けておき(エレメントを
若干短くする)、並列にX=+約40Ωの誘導性リアクタンスを付ける
(ヘアピンスタブを付ける)と良さそうと言うことが分かりました。」

と書いた記事と一致しています。
当たり前のことでしょうが...


◆◆ 平行二線式伝送線路の特性インピーダンス ◆◆

次に、ヘアピンスタブの特性インピーダンスを求めます。
平行二線式伝送線路の間隔を $D(mm)$、導線の直径を $d(mm)$ とすると、
特性インピーダンス $Z_{O}(\Omega)$は、
20180225_0002
$$Z_{O}=277\log_{10}{\frac{2D}{d}}(\Omega)$$から求められます。

例えば、間隔を $30mm$、導線の直径を $2mm$ とすると、特性インピーダンス $Z_{O}$ は、
$$Z_{O}=277\log_{10}{\frac{2\times30}{2}}=277\log_{10}{30}\approx409.16(\Omega)$$となります。


◆◆ 平行二線式伝送線路でのインピーダンス変換 ◆◆

ここで、長さ$l(m)$の平行二線式伝送線路の先に$Z_{Load}$のインピーダンスが接続されているとき、
反対側からみたインピーダンス$Z_{In}$は

20180225_0003


$$Z_{In}=Z_{O}\frac{Z_{Load}+jZ_{O}\tan{\beta l}}{Z_{O}+jZ_{Load}\tan{\beta l}}$$ただし、$$\beta =\frac{2\pi}{\lambda}$$です。


◆◆ ヘアピンスタブでのインピーダンス ◆◆

ヘアピンスタブは、$Z_{Load}$の部分がショート ($0\Omega$) なので、$$Z_{In}=jZ_{O}\tan\beta l$$となります。
この $Z_{In}$が、上記で求めた $X_{L}$ です。
($X_{L}$ は誘導性リアクタンスなので、プラスの $j$ が付く)

周波数が 18.1MHz だとすると、波長$\lambda$は $16.575m$ なので、
よって、$$40 (\Omega)=409.16\cdot \tan{\frac{2\pi}{16.575}l}=409.16\cdot \tan{0.379l}
\\l=\frac{\tan^{-1}{\frac{40}{409.16}}}{0.379}=0.262m$$

※ここで計算する $\tan^{-1}{\frac{40}{409.16}}$ は、radian でなければなりません。
 Excel での計算では問題ないですが、電卓だと degree で算出されることもあるので注意
 最初計算が合わずに、はまってしまいました。

短縮率を 0.975 として掛けると、0.255m = 25.5cm となり、以前とほぼ等しい値が求まりました。


◆◆ 50Ωに変換するヘアピンマッチの長さの一般式は? ◆◆

以上の式をまとめると、こんな風になるのかな。
 アンテナインピーダンスを $R_{ 1 }(\Omega)$
 ヘアピンスタブの間隔を$D(mm)$
 ヘアピンスタブの線材の直径を $d(mm)$
 波長を $\lambda(m)$
 波長短縮率を $v$
とすると、ヘアピンスタブの長さ$l(m)$ は、
$$\Large{l=v\cdot \frac{\lambda}{2\pi}\cdot \tan^{-1}{\frac{\frac{50}{\sqrt{\frac{50}{R_{ 1 }}-1}}}{277\log_{10}{\frac{2D}{d}}}}}$$

2017年5月21日 (日)

18MHz/24MHz V型フルサイズダイポールの作製

これまで18MHzや24MHzは、ダイヤモンドのHFV-5を改造した
短縮V型ダイポールを使ってきました。

このアンテナでもまあまあ遊べたのですが、
エレメント長が片側1.5m程度の短縮アンテナなので、
特に18MHzでの電波の飛び方に物足りなさを感じます。

アンテナを設置しているベランダは、幅が4m程度と狭いのですが、
何とかフルサイズのアンテナを設置できないかと考えてみました。

単にダイポールをV型にしてもエレメント長が足らないので、
先を折り曲げてM字型とすることにしました。

ダイポールなので、設計というほどのものではありませんが、
M字型に折り曲げたエレメントの長さを確認するのと、
給電インピーダンスの概算値を見積もるために、
MMANAを使ってシミュレーションしました。

18MHzのエレメントサイズはこちらです。

20170521_0005

V字部分のエレメントは、片側2.5mです。給電点から、1.5m突き出します。
そこから約1.8mほど折り返すことになります。


次に、24MHzのエレメントサイズです。

20170521_0006

V字部分のエレメントは18MHzと同じく2.5mで、折り返し部分は約0.5mとなります。


シミュレーション結果は、こちらになります。

18MHz
20170521_0007

24MHz
20170521_0008

ダイポールなので、指向性パターンはこんなもんでしょう。
地上高を2mで計算しましたので、給電インピーダンスはかなり低い値になっています。
ベランダの手すりに設置するので、実際もこれくらいの値になると思います。


いよいよアンテナの製作です。
バラン以外の材料は、全てホームセンターで揃えました。
エレメントは、ACコードを半分に裂いたものです。

20170521_0001


給電部は、自作の強制バランを使用しています。
プラスチックのまな板に取り付け、マストに固定するようにしています。
アンテナ自体が建物に近く、給電インピーダンスが約10Ω程度と低いので、
インピーダンスマッチングとしてヘアピンスタブを付けています。

20170521_0002


エレメントの先端側は、細い塩ビパイプ(VP13)に固定して、約1.5m突き出しています。
また、24MHzと18MHzを兼用できるよう、エレメントの途中で分割できるようにしています。

20170521_0003


ヘアピンスタブは、18MHz用と24MHz用の二種類を用意しました。

20170521_0004


さすがフルサイズダイポールです。
18MHzも24MHzも、調整後のVSWRはバンド内全域でほぼ1.0です。

受信も強く入感するようになったと感じます。
一方飛びの方ですが、24Mhzはそこそこ良い感じですが、18MHzは期待したほどではないように感じました。
ただ、HFV-5改よりはマシになっていると思います。

しばらくはこれで遊べそうです。

2017年4月 2日 (日)

430MHz 7エレ スクエアループアンテナの作製

430MHzの7エレメント スクエアループアンテナを作ってみましたので、紹介します。

 


一年ほど前から計画をしていて、材料集めなどは済んでいたのですが、ようやくこの週末完成しました。
今回ループアンテナを選んだ理由は、
 これまで1λループアンテナを使ったことがなく興味があったこと、
 自己平衡作用があるためバランが不要であること
 広帯域にしやすいこと
などです

 


◆◆目標◆◆

430MHzは、これまで8エレ八木を使ってきました。
今回ループアンテナを作る目標として、8エレ八木からの改善点として以下の二つとしました。
①F/B比 20dB以上にすること
②広帯域化

 


◆◆設計◆◆

今回もMMANAの最適化 (Optimization) 機能を駆使して設計しました。
給電点のインピーダンスは、マッチング回路を不要としたいため、50Ω+0j を目標としました。
シミュレーション結果から得られた設計図は、こんな感じです。

20170402_0001

20170402_0002

 

Real Ground、地上高1mでのシミュレーション結果は下図のとおりです。

20170402_0003

Ga (絶対利得) =14.68dB、F/B=24.21dB

ブーム長を1m以下に抑えたかったので、指向性はイマイチかもしれませんが、これで良しとしました。

 


◆◆材料◆◆

エレメントは、10mm幅×2mm厚のアルミフラットバーを、
ブームは、20mm角×1.5mm厚×1m長のアルミ角パイプを使いました。
エレメントクランプは、ポリエチレン製まな板から切り出して作ることにしました。
いずれもホームセンターで揃う物です。
給電点は同軸ケーブル直付けとしますので、5D2V 20cm程度と、メスのN型コネクタ(NJ-5X)を準備しました。

 


◆◆工作◆◆

430MHzともなると波長が短く、エレメント長もミリメートル単位できっちり作る必要があります。
エレメントも丁寧に採寸し、切断や穴開け位置、折り曲げも念入りに行ったつもりです。
(が、結構雑な仕事になってしまいました...)

エレメントクランプは、ポリエチレン製のまな板から削り出しました。
以前導体分岐バランを作製したときは、ポリエチレン板の加工に苦労しましたが、
いまはミニルーターや木工用ヤスリなどがあるので、比較的短時間に作業終了しました。

20170402_0004

エレメントクランプに皿ネジを埋め込み、エレメントをタッピングビスで取り付けて固定して完了です。

20170402_0005

取り付け部分は、短いアルミフラットバーで補強しました。
20170402_0006

 


◆◆調整◆◆

シミュレーション結果が正しいかどうか不安があったので、まずエレメントを仮止めしてVSWRを測ってみました。
その際、ラジエーターは調整しやすいように、最初はIV線で組みました。
若干ラジエーターの長さを僅かに調整(短く)しましたが、他のエレメントの長さや間隔はそのままでOKでした。
ラジエーター長が決まったところで、ブームに穴開けをして、エレメントを取り付けました。

20170402_0007

20170402_0008


給電点はこんな感じですが、まだ改善の余地はありそうです。

20170402_0009

クランプコアは最初入れていませんでしたが、ケーブルの引き回し方でVSWRが大きく変わるような
現象が起こっていましたので、ダメ元で入れてみました。
するとスッとそのような現象が治まり、ケーブルの引き回し方を変えてもVSWRが跳ね上がることはなくなりました。

恐らくコモンモード電流が影響して、悪さをしていたのでしょう。
クランプコアがフロートバランの働きをして、コモンモード電流を抑制してくれていると思います。
ループアンテナに自己平衡作用が有るとは言え、やはりバランは入れた方が良さそうです。
しかし、手持ちの適当なクランプコアが430MHzぐらい高い周波数でも効果的であるとは思ってませんでした。

VSWRは、430〜439MHzで概ね1.5以下と良好な結果でした。

 


 

◆◆使ってみて◆◆

かなりビームパターンが鋭いように感じました。
フロント方向の左右30°ぐらいのところが、凄く切れているように思えます。
59+20dBぐらいで入感している局が、30°ぐらい振るとカスカスになるぐらいに信号強度が落ちます。
シミュレーション結果でもそのようになっていますが、それに近い特性になっているのかもしれません。
バックもそこそこ落ちているように思います。

ただ、指向性が鋭いことは良いのですが、アンテナを方角固定で使うにはちょっと使いづらいものに
仕上がってしまったかもしれません。
しばらく様子を見てみたいと思います。

 


2019/10/6 追記

イマイチだった給電部ですが、直付けしていた同軸ケーブルがもげてしまったのをきっかけに
作り直してみました。

エレメントに同軸を直付けしていたものを、N 型コネクタ (レセプタクル) に換えました。

430MHz 7エレ スクエアループアンテナの給電部 修理
430MHz 7エレ スクエアループアンテナの給電部 修理 2

20191006_0001

また、エレメント長を微調整する必要がありましたので、併せて行いました。
ただ、シミュレーション結果とは概ね合っているようです。

2017年3月19日 (日)

144MHz 5エレ八木を改良

三年近く144MHzの5エレ八木を使ってきました。
 過去の記事:144MHz 5エレ八木の製作
このアンテナでも、それなりに電波は飛んでくれていましたし、コンテストでも入賞することができました。
しかし、F/B比があまり良くないのと、指向性パターンにも若干違和感があります。
少しでも改善できないものかと思い立ち、MMANAを使って検討してみました。

◆◆改良のポイント◆◆

改良の目標としては、以下の2点です。

①F/B比の改善(F/B比 20dB以上に)
②広帯域化


◆◆再設計◆◆

MMANAの最適化 (Optimization) 機能を駆使して、設計し直しました。
今回も2X209Aのエレメントをそのまま流用するので、エレメント長は変えずに、エレメント間隔だけで調整します。
また広帯域化を図るため、設定条件でBand Settingも144.00〜145.00MHzとしました。
これでF/B比にややウエイトを置いて、最適化させました。
目標の給電点のインピーダンスは、これまで作ってきた6エレ八木や5エレ八木と同じ、約26Ωとしました。

色々試してみて、第1ディレクタに2X209AのD2(赤)を、第2ディレクタに2X209AのD3(橙)を、
第3ディレクタに2X209AのD6/D7(無色)を使うことで、割と良い結果が得られました。

それで、出来上がった寸法がこちらです。

20170319_0001

Real Ground、地上高2mでシミュレーション結果はこちらです。

20170319_0002

 Ga=11.41dB、F/B=23.41dB、Elev=9.6°

サイドローブが大きく出ていますが、アンテナの向きをほぼ固定で使いますので、
サイド方向が切れないのは不問とします。
エレメント間隔をもう少し広げたりしたら、もっとサイドローブを小さくすることができましたが、
ブーム長が2m以上になるので不採用としました。

ちなみに、これまで使ってきた5エレ八木のシミュレーション結果です。

20170319_0003

さらに、同じ条件で過去使ってきたアンテナと比較してみると、このようになります。

            Ga(dB)  F/B(dB)  Elev(°) 
ダイヤモンド5エレ八木  9.43   17.65    9.8
2X209A改造6エレ 11.74   19.46    9.5
2X209A改造5エレ 11.01   18.14    9.6
今回の改良版5エレ   11.41   23.41    9.6

このように、シミュレーション上ですが、F/B比を大幅に改善することができました。


◆◆アンテナの製作◆◆

ブームは以前作った6エレ八木のアルミ角パイプ (20mm×20mm×2000mm) を流用しました。
今回の5エレ八木で使わないネジ穴は、組み立て間違い防止のため、テープを巻いて目隠しをしました。
穴開け加工箇所が少なかったので、あっという間に作業は終了しました。
組み立てた状態では、こんな感じです。

20170319_0004


◆◆VSWR◆◆

シミュレーション結果の寸法でそのまま組み立てましたが、非常に良い結果が得られました。
144.00〜146.00MHzまで、VSWRは1.1以下です。
手持ちのSWR計では、反射電力の針が殆ど振れません。


◆◆使ってみて◆◆

飛びを試そうと、SSBで電波を出して何局かの方とQSOをしました。
ただ、以前の5エレ八木と比べて良くなったかというと、さほど実感はできませんでした。
フロントゲインはほとんど変わっていないので、仕方ないことかもしれません。
追々コンテストなどで感触が掴めるのではないかと思います。

広帯域になっただけでも、精神衛生上良くなったと思います。

2017年3月12日 (日)

50MHz用強制バランの製作 2

誤解があってはいけませんので、最初にお断りしておきます。
下記記事は、強制バラン単体の VSWR を 1.0 にすることが目的であり、
アンテナの VSWR を改善しようというものでは有りません。

理想の 1 : 1 強制バラン (50 Ω 不平衡 ⇔ 50 Ω 平衡 の変換) を追求しようというものです。

 


最近また50MHz用の強制バランをいろいろ試してみましたが、
ようやくまともな物を作ることができました。

 

◆◆フェライトコアについて◆◆

改訂新版[定本]トロイダル・コア活用百科に、50MHz用のバランには
フェライトコアの損失係数tanδが低い#67材が適していると書かれています。
予備でもう一つFT-114-67のフェライトコアを持っていましたので、
これを使うことにしました。
FT-140-67が手に入るのであれば、こちらの方がベターだと思います。

 

◆◆フェライトコアに巻く線について◆◆

フェライトコアにトリファイラ巻きする線についての考察は、
 バラン用巻線の特性インピーダンスを測定
 バラン用巻線の特性インピーダンス測定結果から考察 で行っています。
結論としては、ポリウレタン銅線(UEW)またはポリエステル銅線(PEW)を撚らずに
平行に並べた3線にする
と伝送線路としての特性インピーダンスが50Ωに近くなるので、
良好な結果が得られるということです。

ポイントは、線同士を軽く密着させた状態を保つということです。
線間に隙間ができると、特性インピーダンスが上がってしまいます。
色々考えましたが、1mm ポリウレタン銅線を平行に並べた3線をマスキングテープでグルグル巻きにして、
線同士を密着させた状態を維持させることにしました。

20170312_0001

平行3線の長さは、少し長めで35cmのものを準備しました。
平行3線へテープを巻く前に、ポリウレタン銅線を直線にする必要があります。
万力で銅線の片側を鋏み、軽く手で扱いた後にペンチで強く引っ張ってやります。
太い線ではなかなか力が要りますが、1mmの銅線ぐらいでしたら割ときれいな「直線」ができます。
これを曲げないように注意して3本を綺麗に並べ、ピタッと密着させながらテープを巻いていきます。

本来、グルグル巻きにするテープは薄くて柔軟性があり、かつ丈夫で耐湿性のあるものがベターです。
吸湿すると、水分で比誘電率が変わり、特性インピーダンスに影響を与えてしまう可能性があるからです。
マスキングテープは紙製なのであまりよろしくないですが、良いテープが手に入らなかったので、
仕方なく我慢することにしました。

なお、巻き線に同軸ケーブルを使った強制バランは、過去の記事
 50MHz用強制バランの製作 にて記載しています。

 

◆◆バランの作製◆◆

マスキングテープをグルグル巻きにした平行3線を、FT-114-67へ捩れないよう丁寧に巻いていきます。

20170312_0002

最初は改訂新版[定本]トロイダル・コア活用百科に書かれているとおり8回巻きで作ってみましたが、
50MHz専用であれば7回巻でも充分であろうと考え、後で一巻き解きました。
 FT-114-67のAL値は25なので、
  7回巻き:L=1.225μH ⇒ 50MHzでのリアクタンス=384.8Ω
  8回巻き:L=1.600μH ⇒ 50MHzでのリアクタンス=502.7Ω
 リアクタンスは、50Ωの5倍以上すなわち250Ω以上が必要。
 巻線長は短い方が良い。
  ⇒巻数は7回でも充分という結論

強制バランのVSWRを良くするための重要なポイントは、
大きな差動信号が通るメインパス(図の①と③)を、平行3線のうち必ず隣り合う線として使用する ということです。

20170312_0003

すなわち、①と③で形成される伝送線路の特性インピーダンスを50Ωに近づけることにより、
強制バランのVSWRを良くすることができます。

あと、不平衡端(同軸コネクタ側)の処理は、なるべく短い配線にする必要があります。
また平衡端(アンテナ側)で①と②を接続する箇所も、フェライトコアに巻き終わった位置から
近いところにした方が良いと思います。
残りの配線は、アンテナエレメントの一部として動作します。

 

◆◆バランの特性(VSWR)◆◆

仮組み立てした強制バランの出力端に、51Ωの金属被膜抵抗を接続し、アンテナアナライザで
VSWRを測定してみました。

20170312_0004

VSWRはほぼ1.0でバッチリです。

20170312_0005

アンテナアナライザで純抵抗値 R を見ると、巻線の特性インピーダンスの状態が大体予想できます。

Rが50Ωより大きく表示されていたら、巻線の特性インピーダンスが50Ωより大きくなっているはずで
恐らく平行3線の線間に隙間ができているものと予想されます。
逆にRが50Ωより小さく表示されていたら、巻線の特性インピーダンスが50Ωより小さくなっているはずで、
撚り線ぽくなっているとか、線間に容量が付き過ぎているような状態になっていると予想されます。

(7〜8回巻きだと巻線長は30cm弱なので、短縮率を考えてもλ/4以上にはならず、
見かけのインピーダンスはひっくり返っていないはずです)

 

◆◆バランの特性(平衡度)◆◆

オシロスコープで、出力の波形振幅を確認してみました。
写真は、平衡側の+端およびー端の波形です。
オシロスコープのトリガーの関係で、同相になっているように見えますが、
ちゃんと+端とー端とで位相反転していることは確認済みです。

20170312_0006

20170312_0007

改訂新版[定本]トロイダル・コア活用百科 377ページの「バランの平衡度計 (1)」にある計算方法で、
 $$\frac{123.0-120.2}{123.0+120.2}\times100=1.15\%$$
すなわち、アイソレーションは、
 $$20\log\frac{123.0+120.2}{123.0-120.2}=38.8dB$$

これは、改訂新版[定本]トロイダル・コア活用百科 371ページの[図9.15]を参考にすると、
まずまずの結果ではないかと思います。

 

◆◆まとめ◆◆

作ったバランをケースに収め、早速50MHzの2エレVビームアンテナに接続しました。
VSWRも変化することなく、特に問題なく動作しています。

20170312_0008

以前同軸ケーブル 2.5D2Vを巻いた強制バランを作りましたが、
それと特性的にはあまり変わらないのではないかと思います。
しかし、巻線に使った銅線を太くすることができますので、「銅損」による発熱が抑えられ、
耐電力の向上が図れたと思います。
一応、50MHz用強制バランはこれで完成ということで、一段落です。

HFハイバンド(21MHz以上程度)においても、強制バランの巻線を撚り線ではなく平行3線とすることは、
VSWR下げるために必要ではないかと思います。

より以前の記事一覧