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カテゴリー「無線(アンテナ)」の78件の記事

2025年3月30日 (日)

HFV5 28 MHz 帯用エレメント改造計画

HFV5 の 50 MHz 帯用コイルに、約 110 cm のエレメントを足して、
28 MHz 帯用にしようという計画です。

この週末に実験して、ある程度目処は立ちましたが、
いろいろと改善すべき点があるので、引き続き進めていきます。

 


当局の HFV5 は、18 MHz 帯、21 MHz 帯、24 MHz 帯、28 MHz 帯の
4 バンドでしか使用していません。
50 MHz 帯用のコイルは遊休部品となっているので、
28 MHz 帯用のコイルは、24 MHz 帯用のエレメント専用として固定し、
代わりに余っている 50 MHz 帯用のコイルを 28 MHz 用として活用する
ということで進めました。

だいぶ昔に、50 MHz 帯用のコイルに約 108 cm のエレメントをつければ、
28 MHz 帯に同調することを確認していました。
たぶん、100 cm 以上のエレメント材を入手することが容易ではなかったため、
そのまま放置していたのだと思います。

今回は、100 cm のエレメント材に 10 cm 程度継ぎ足すことにしました。
使ったエレメント材は、Eggs ステンレスバネ線 1.5 × 100 cm です。
ネットショッピングで購入しました。
エレメントの継ぎ足しは、圧着スリーブ B-1.25 を使いました。

 

今回の実験結果としては、50 MHz 帯用コイルに約 110 cm のエレメントを
付けると、28 MHz 帯の CW / Digital あたりで VSWR が最小となった、
ということです。
ただし、いくつか改善すべき課題があります。

まず、エレメントの垂れ下がりです。
エレメントがステンレス材とはいえ、1.5 mm Φで 110 cm もあると、
先端はかなり垂れ下がって湾曲します。
見栄えも悪いです (見栄えが悪いので、写真も撮りませんでした)。

あと、VSWR が 1.0 : 1 まで追い込めなかったことです。
アンテナアナライザーで測定して、リアクタンスが 0 Ωとなるところが見つかりませんでした。
あと、純抵抗分が何故か 80 Ω程度になっていました。
(28 MHz 用のコイルを使用したら、純抵抗分は 30 Ω前後)
アンテナの垂れ下がりも影響しているでしょうが、もう少し確認が必要に思いました。

少しだけ運用しましたが、電波の飛びは今までと大差なしの感じです。
ただ、短縮率が低くなるため、VSWR の下がる周波数が広くなる (帯域が拡がる) という
安心感は得られると思いました。

この週末は適当に実験しただけなので、追々改善していきたいです。

2024年8月 4日 (日)

アンテナの利得に関する勘違い

ネットとかを見ていると、たとえば、
「アンテナの利得が 10 dB あるので、10 W が 100 W になる」
といったような表現をときどき見かけることがありますが、
私はこれに違和感を覚えます。

 


アンテナは能動素子ではありませんので、ブースターなどを内蔵していない限り、
アンテナで電波の電力が増幅されることはありません。

上記の例でいうと、アンテナの利得 (大抵は相対利得で定義されている) が 10dB ならば、
基準となるアンテナ (大抵は半波長ダイポール) を使った時と比べて、
受信点での受信電力が 10 dB (10 倍) になるということです。
すなわち、ダイポールで 100 W 出力したときと同じ受信電力 (同じ効果) が得られる
というふうに理解すべきだと考えます。

アンテナに供給される電力 (エネルギー) を、
如何に指向性方向に集中させて強く届けるかということだと思います。

敢えて例えるとすれば、
スプリンクラーのように全方向に散水するのと、
消火ホースのように先端が細くなったもので方向を定め集中して放水するのとであれば、
同じ供給水量でも後者の方がある目的点に対し、より効率よく遠くへ多くの水を送り込むことができる
という感じでしょうか。

 


アンテナの利得は、基準とするアンテナを何にするかで、
値が変わってきます。

2023年5月27日 (土)

HFV-5 の調整エレメント長 (18 MHz 帯、21 MHz 帯、24 MHz 帯、28 MHz 帯)

いちおうノートにはメモってあるのですが、
ノート自身がぐちゃぐちゃで情報があちこちバラバラに書かれており、
毎回どこに書いてあるのかを見つけるのが面倒くさいので、
備忘録としてまとめておこうと思います。
(実際の検討は、ブログを書き始めた 11 年ほど前に行っています)

 


 

・調整エレメント長の定義は、HFV-5 の短縮コイルユニットの先に付けるエレメントの長さ。
 (HFV-5 の取扱説明書にも記載されています)

20230527_0001

・モノバンド仕様 (主エレメントの先に付ける短縮コイル+先端エレメントは一つ)

・インピーダンスマッチング回路 (ヘアピンスタブ) を付けることが前提

 

周波数帯
[MHz]
ターゲット周波数
[MHz]
短縮コイル
ユニット
先端エレメント長
[cm]
エレメント調整感度
[kHz/cm]
ヘアピンスタブ
18 18.10 21MHz用 35.5 約140 3cm幅、26.1cm長
21 21.10 17.5 (※) 約200
24 24.90 28MHz用 20.1 約250
20.5 3cm幅、19.5cm長
28 28.10 9.0 (※) 約340

(※) HFV-5 取扱説明書の値を引用

 


再現性はある方だと思いますが、設置環境により先端エレメント長は変わってくるはずです。
ただ、調整開始の目安にはなるかと考えています。

ベランダに取り付けると、どうしても給電インピーダンスが下がってしまい、
ヘアピンスタブによるインピーダンスマッチングが必要ですが、
ヘアピンスタブを付けなくても良い場合は、若干調整エレメントは長くなると思います。

2022年12月26日 (月)

1200MHz 10エレループアンテナの検討

先日 MMANA で円形ループアンテナのシミュレーションを検討したところ、
正十六角形以上で近似すれば良好なことが分かりました。
MMANAで円形ループアンテナのシミュレーション検討

今回、1200 MHz 帯用の10 エレメント ループ (円形) アンテナを
正十六角形で近似したデータを用いたシミュレーションにて検討してみました。

 


手っ取り早く、以前製作した 430 MHz 7 エレ スクエアループのデータを元に、
1200 MHz 帯サイズにスケールダウンしたところからスタートしました。

Excel を用いて MMANA に入力するエレメントの座標を計算し、
カンマ区切りの CSV ファイルにエクスポートして、
MMANA の定義ファイル (.MAA 形式のファイル) にコピー&ペーストすることを繰り返しました。

一通り10 エレまで入力したところで、MMANA で最適化を掛けました。
ただし、エレメントサイズは変化させず、エレメント間隔だけで最適化させました。

20221226_0001

 


ベストな結果かどうかは分かりませんが、まずまずのところまでは追い込めました。
シミュレーションでの結果ではありますが、アンテナ製作の目安にはなると思います。

20221226_0002

20221226_0003

20221226_0004

 


エレメントは、100 円ショップで売っている、3 mm 径のアルミ線にしようかと考えています。
ただ、ラジエータだけはアルミ線、銅線、真鍮棒どれにしようか迷っています。

エレメントクランプや給電点の加工もどうするか検討中です。
早く製作に取りかかりたいところですが、なかなか時間が取れません。
(他の中途半端な仕掛品もいくつもある状態です)

2022年12月11日 (日)

MMANAで円形ループアンテナのシミュレーション検討

1200 MHz 帯のループアンテナを検討してみようと思いました。
以前 430 MHz 帯のループアンテナを作ったときは、正方形 (スクエア) の 1λ ループにしましたが、
今回は円形のループアンテナにしたいと考えています。

 


まずは、MMANA を使ってシミュレーションし、机上検討から始めます。
しかし、MMANA では円形の定義ができないようなので、正多角形で近似する必要があります。
では、どこまで多角形にすれば良いのでしょうか。
既に充分議論し尽くされた話かも知れませんが、自分でも試してみたいと思い、
MMANA で多角形の種類をいくつか変えてシミュレーションしてみました。

とりあえず、今回は多角形の比較だけなので、基本的な 1エレメント 1λのループアンテナでシミュレーションしてみます。
1295 MHz で同調する (リアクタンス成分が 0 Ω となる) ように、エレメント長を調整しました。
シミュレーションは、リアルグラウンド、2 m 高としました。

 


【結果まとめ】1295 MHz 1λループアンテナ

形状 正四角形 正八角形 正十六角形 正三十二角形 正六十四角形
エレメント全長 26.65 cm 25.93 cm 25.74cm 25.75 cm 25.72 cm
インピーダンス 約142 Ω 約149 Ω 約154 Ω 約157 Ω 約157 Ω
絶対利得 8.66 dBi 8.88 dBi 8.93 dBi 8.96 dBi 8.96 dBi

 

これを見ると、正十六角形以上で各数値の変化が少なくなっており、円形にかなり近似できていることが分かります。
なので、円形ループアンテナのシミュレーションは、正十六角形以上にすることが望ましそうです。
ただし、あまり細かくしすぎるとシミュレーションに時間が掛かってしまいますので、
妥協点としては正十六角形がベター、正八角形で何とか許せる範囲という感じがします。

あくまでもシミュレーション上の話なので、この結果と実物の実測が合うという検証は別途必要かと思います。

 


以下は、シミュレーションの結果図です。

Excel の関数を用いて正多角形の全辺長から頂点の座標を計算させ、
カンマ区切り形式の CSV ファイルでエクスポートして、MMANA の定義ファイルにコピー&ペーストしました。
(Excel では、正N角形の全辺長からN個の頂点座標データを出せるようにしました)

賢い方々は、マクロを組んで MMANA の定義ファイルを直接出せるようにしているのでしょうね。

① 正四角形
20221211_0001

 

② 正八角形 
20221211_0002

 

③ 正十六角形 
20221211_0003

 

④ 正三十二角形 

20221211_0004

 

⑤ 正六十四角形 

20221211_0005

 


次は、エレメント数を増やして、1200 MHz 帯のループアンテナ設計をしていく予定です。

2022年8月28日 (日)

430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バラン (2個目) を 7エレ スクエアループアンテナに組み込み

先月作製した 430 MHz 帯用 50 Ω:50 Ω 強制バランの (2個目) を、
7エレ スクエアループアンテナに組み込みました。

20220828_0001

20220828_0002

 


強制バランを組み込んだ7エレ スクエアループアンテナの特性を、
NanoVNA で確認しました。

7エレ ヘンテナのときと同様に、給電エレメントの (引き出し部分の) 長さが変わるため、
そのままでは VSWR の最低周波数が 448 MHz 付近にずれてしまいました。
なので、放射エレメントは再度作り直しです。
放射エレメントの長さを長くする必要がありますが、その長さ$\Delta l$は、

$$\Delta l = \left(\frac{300}{432}-\frac{300}{448}\right)\times 0.97 = 0.0241 [m] = 2.41 [cm]$$

となります。

放射エレメントを作り直したところで、再度 NanoVNA で測定。
結果は下図のようになりました。

■スミスチャート

20220828_0003

 

■抵抗成分とリアクタンス成分 
20220828_0004

 

■インピーダンス 
20220828_0006

 

■VSWR 
20220828_0005

 

強制バランを入れる前と若干特性が変わってしまいましたが、
よく使う 430 MHz から 433 MHz 付近では VSWR が 1.2 程度なので、
これで良しとしました。

 


昨晩、久しぶりに 7エレ スクエアループで運用しました。
特に問題は無く、FT8 では 1エリアの方とも QSO ができました。

430 MHz 帯は 7エレ ヘンテナがありますので、固定局からの普段使いはヘンテナになると思います。
7エレ スクエアループアンテナは、移動用にでも使いたいなと考えています。
(ただし、移動運用する気合いがあればの話ですが...)

 

<参考記事>
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その1)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その2)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その3)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その4)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランを 7エレ 1λヘンテナに組み込み
430 MHz 帯用 50 Ω:50 Ω 強制バランの製作 (2個目)

2022年7月17日 (日)

430 MHz 帯用 50 Ω:50 Ω 強制バランの製作 (2個目)


先日 430 MHz 帯用 50 Ω:50 Ω 強制バランを作りましたが、
再現性の検証を兼ねて、7 エレ スクエアループアンテナ用に 2 個目を作ることにしました。

<参考記事>
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その1)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その2)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その3)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その4)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランを 7エレ 1λヘンテナに組み込み

 


以下は、設計の備忘録として記しておきます。

■ バランの構成

U バラン+マイクロストリップライン
・U バラン:不平衡 ⇔ 平衡 変換、50 Ω ⇔ 200 Ω 変換)
・マイクロストリップライン:平衡型 1/4 λ、200 Ω ⇔ 50 Ω 変換)

 

■ U バラン

3D-2V を使用。
長さは 1/4 λ × 波長短縮率 (0.67) だが、要調整。

 

■ マイクロストリップライン

1.6 mm 厚 片面銅箔のガラスエポキシ基板を使用。
パターンは、カッターで切って不要部分を剥がした。
寸法図は以下のとおりだが、長さは調整が必要。

20220716_0001 

 

■ コネクタ

トーコネ製 パネル取付タイプのN型レセプタクル N-R を使用

 

■ コネクタ取り付け金具

1 mm 厚の銅板で作製
寸法図は以下のとおり。

20220716_0002 


完成したバランです。
測定用に、50 Ω の負荷抵抗を付けています。

20220716_0003

 

U バラン 3D-2V の長さは調整の結果、前回と同じく 222 mm で OK でした。
前回と同じ同軸ケーブルを使用したこともあり、再現性は良かったです。

一方で、マイクロストリップラインの長さは、前回 64 mm だったのに対し、
今回は 70 mm となりました。
(上記の寸法図は、今回の調整結果の値を反映しています)

再現性が良くなかった要因は幾つかありますが、
おそらくマイクロストリップラインの幅 (5.5 mm) の仕上がりが、
バラついていたのではないかと考えています。

 

調整後のNano VNA での測定結果です。
まずまずの結果となりました。

■ スミスチャート

20220716_0004

■ インピーダンス

20220716_0005

■ VSWR

20220716_0006 

後日、クランプを作って、7 エレ スクエアループアンテナに組み込みたいと思います。

2022年5月 3日 (火)

430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランを 7エレ 1λヘンテナに組み込み

先日より検討していた 430 MHz 帯用 50 Ω:50 Ω 強制バランを、
7エレ 1λヘンテナに組み込んでみました。



まずは、バランを支持するためのクランプを製作。
厚さ 1 mm のポリエチレン製まな板から切り出して作りました。

エレメント取り付け用の穴は、U バランの接続点から 6.9 cm のところに開けました。
(先日検討した Q マッチングの長さ 6.4 cm + エレメント幅 1 cm の 1/2)

マイクロストリップラインは、防錆のためハンダメッキを施しました。
ハンダを分厚く盛ると特性インピーダンスに多少影響でますので、
ハンダ吸い取り線を使ってハンダを薄く伸ばし、軽くサンドペーパーで磨きました。

裏面のベタパターンは、U バランの接続点から 6.4 cm のところでカットしました。
したがって、アンテナのエレメントをネジ止めしても、ベタパターンと接触することはありません。
また、ソルダーレジストを追加塗布して全面を覆いました。

 


7エレ 1λヘンテナに 430 MHz 帯用 50 Ω:50 Ω 強制バランを取り付けた様子です。

20220503_0001

裏面はこんな感じです。
U バラン部分とブームが干渉しますので、ブームを U バランの間に通しています。
バランのクランプはまだボルトでブームに固定していませんが、
後日固定するように追加加工する予定です。

20220503_0002

バラン組み込み後の、7エレ 1λヘンテナの全体図です。

20220503_0003

 

430 MHz 帯用 50 Ω:50 Ω 強制バランを組み込み後に、
NanoVNA で 7エレ 1λヘンテナの特性を確認しました。

給電エレメントの (引き出し部分の) 長さが変わったせいか、
そのままでは同調点もインピーダンス (特にリアクタンス成分) がズレており、
調整が必要になりました。

そこでラジエータの左右エレメントの位置をずらして、
何とか良い感じのところまで追い込みました。

最終的な結果は以下のとおりです。
VSWR の最小点は、バランを取り付ける前より悪化してしまいましたが、
430 〜 440 MHz の範囲で 1.5 : 1 以内には収まっているようなので、
まあ良しとすることにしました。
20220503_0004



バランを入れたからと言って、特段飛びが良くなるということはないと思います。

ただ、気のせいかも知れませんが、若干ノイズが減ったような気がします。
同相ループで入り込んでくるノイズ信号が抑えられるようになったと、勝手に納得しています。
まだあまり使い込んだ訳ではないので、後々いろいろと分かってくると思います。

昨日、何局か QSO させていただきましたが、
50 W で送信しても、特に不具合などは見られませんでした。

 


トロイダルコアを使った広帯域バランと違い、調整も必要で、製作するのは結構面倒くさいです。
強制的に不平衡 ⇔ 平衡の変換をさせて精神衛生上安心を得るという、
単なる自己満足に過ぎなかったのかも知れません。

これで、430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの製作は終了です。

<関連記事>
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その1)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その2)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その3)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その4)
430MHz帯 7エレ 1λヘンテナの製作

2022年4月24日 (日)

430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その4)

この週末は、430MHz帯用バランの組み立て、および調整をやってみました。

 


まずは、Uバランの調整から。

Uバランに使った同軸ケーブルは、フジクラ製の 3D-2V です。
同軸ケーブルでの損失を考えると、もっと太い同軸ケーブルを使うべきなのでしょうが、
取り回しが悪くなることと、長さがさほど長くないので、3D-2V で良しとしました。

同軸ケーブルの長さは 1/2 波長なので、433 MHz で合わせるとすると、
長さ $l$ は、$$l=\frac{300}{433 [MHz]}\times\frac{1}{2}\times0.67=0.232 [m]  (ただし、波長短縮率は 0.67 とする)$$となりますので、30cm程度の 3D-2V を用意しました。

3D-2V の片端を NanoVNA に接続し、もう一方の片端はオープンのままで、インピーダンスを測定します。
1/2 波長の伝送線路だと、入力端と出力端は同一のインピーダンスに見えます。
したがって、NanoVNA の測定値が ∞ [Ω] になる長さが、1/2 波長ということになります。

3D-2Vを切り詰めていき、22.2 cm のときに 433 MHz 付近で出力端が高インピーダンスになりました。
ただし、22.2 cm 長 3D-2V の両端は、マイクロストリップラインに接続するため、1.5 cm 程度同軸ケーブルを剥いています。
(なので、合計長さは 25.2 cm になります)
 ⇒片端をショートで調整した方が良かったと、後から思いました。
  (理論上はどちらでも同じなのでしょうが、オープンは色々と影響を受けやすいので)

20220424_0001 20220424_0002

一応これで、Uバランの材料は揃いました。
ちなみに、上記の結果から 3D-2V の波長短縮率を計算すると、0.654 になりました。

 


次に、先日作製したマイクロストリップラインにUバランを接続します。
3D-2V のポリエチレン絶縁体を通す穴は、φ3.5 mm で開けています。

20220424_0003

3D-2V の外部導体 (編み線) は、長くならないよう近くの GND ベタパターンにハンダ付けしています。

20220424_0004

 

マイクロストリップラインにUバランを取り付けたところで、
今度はマイクロストリップラインの長さを調整します。

正しい調整方法かどうかは分かりませんが、
マイクロストリップラインの出力端をショートさせ、入力端のインピーダンスを測定します。
マイクロストリップラインの長さは 1/4 波長としたいので、
出力端をショート (インピーダンス 0 [Ω]) させると入力端はオープン (高インピーダンス) に見えるはずです。

少々雑ですが、アルミ箔を使ってマイクロストリップラインをショートさせ、
N 型レセプタクルの付いている入力端のインピーダンスを測りました。

20220424_0005

すると、Uバランの接続点から約 7 cm のところをショートさせると、
入力端が高インピーダンスになりました。

20220424_0007

 

ちなみに、これは NanoVNA に何も繋がなかったときのインピーダンスです。
(付属のケーブル+SMA-JーNP 変換コネクタを接続して、キャリブレーションを行っています)

20220424_0006

 


最後に、マイクロストリップラインの特性インピーダンスの調整です。

出力端に 50 [Ω] の負荷を付けます。
SMA-J コネクタに NanoVNA のキャリブレーション用負荷を取り付け、
リード線を使ってマイクロストリップラインに接続しました。

純抵抗負荷が望ましいのですが、ぴったりサイズが合う物が用意できません。
リード線の寄生リアクタンス分が影響する懸念がありますが、これで我慢しました。

20220424_0008

マイクロストリップラインの幅が 6mm 有り、設計値 5.5 mm に対して若干太めでした。
このため、特性インピーダンスが少し低めになっていたようで、
入力端のインピーダンスは 42 [Ω] 程度を示していました。

なので、マイクロストリップラインを 0.5 mm 程度カットしました。
間隔は変えたくなかったので、外側をカットすることにしました。

その後、若干 50 [Ω] 負荷の位置を調整し、6.4 cm の長さで下図のようにまあまあのところまで来ました。

20220424_0009

後は、アンテナに取り付けて、アンテナの調整をしたいと思います。

 


今回実験してみた感想ですが、
マイクロストリップラインの特性インピーダンスは計算値に近い値が出ているのが意外でした。
ただし、波長短縮率は計算値よりかなり低く、0.36〜0.4 程度になっているようでした。

今回の結果は、リピートする際のある程度の目安にはなると思います。
が、作りっぱなしではやはりダメで、一回一回調整は必要になってくるかと思います。

いずれにせよ、NanoVNA が無ければ、ここまではできなかったと思います。
今回作ったバランが、ゴミにならなくて済みそうなので、ホッとしています。

 

<関連記事>
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その1)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その2)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その3)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランを 7エレ 1λヘンテナに組み込み

2022年4月17日 (日)

430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その3)

なかなか捗らないですが、少しだけ進みました。

 

ようやく、マイクロストリップラインに N 型コネクタ (レセプタクル) を
固定する治具を作りました。
1 mm 厚の銅板を、写真の様な形に加工したものになります。

220417_0001

 

また、前回作ったマイクロストリップラインですが、
N 型レセプタクルの出っ張る部分が当たってしまうので、
写真のようにヤスリで削って加工しました。

220417_0002

二つの穴は、U バランで使う同軸ケーブルの芯線を通すためのものです。

 

ここまでできたところで、
マイクロストリップラインと N 型レセプタクルを接続しました。

表面です。
N 型レセプタクルの中心導体とマイクロストリップラインをハンダ付けしました。
銅板で作った固定治具は、N 型レセプタクルの裏側に装着し、ネジ止めしています。

220417_0003

こちらが裏面です。

固定治具は、ちょうどベタ GND とピッタリ接触するよう、L 型に折っています。
固定治具とベタ GND をハンダ付けして固定しました。
ついでに、固定治具と N 型レセプタクルとの間もハンダを盛りました。

裏面 (全面ベタGND) は、防錆のためソルダーレジストを塗布しました。
しかし、まだ調整が済んでいないので、一部分しか塗布していません。

220417_0004

これから調整作業に入っていきます。

 

<関連記事>
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その1)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その2)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランの検討(その4)
430MHz帯用 50Ω:50Ω 強制バランを 7エレ 1λヘンテナに組み込み

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