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2017年1月 9日 (月)

MSK144の変調方式について、ちょっと考察

WSJT-X User Guideには、MSK144のOQPSK (Offset Quadrature Phase Shift Keying) は、
MSK (Minimum Shift Keying) と結果的に等価であると書かれていますが、
本当にそうなのかイマイチ理解できていませんでした。
気にはなるものの、難しい数式を解いたりすることもできないので、定性的に考えてみることにしました。

まず最初に、OQPSKを調べてみると、
「I軸とQ軸の時間を1/2シンボルずらして変調したQPSKである。」(Wikipediaより)
とあり、データが遷移するときゼロ点を通らないように工夫された変調方式とのことです。

QPSKなので、データは00, 01, 10, 11の四種類ありますが、
データの遷移を考えると、下記のように12通りあります。

20170109_0001


特徴的なのが、赤枠で囲んだ00→11, 01→10, 10→01, 11→00の四種類です。
QPSKのマッピング(コンスタレーション)は、

20170109_0002

なので、00→11, 01→10, 10→01, 11→00の遷移は1/2シンボルのオフセットが無ければ、
一度に180°変化することになり、ゼロ点を通ってしまいます。
1/2シンボル オフセットさせることにより、
 00→01→11
 01→00→10
 10→11→01
 11→10→00
のように、90°ずつ変化することになります。

ここでよく見てみると、
   00→01→11, 11→10→00の遷移は90°ずつ位相が遅れていく
   01→00→10, 10→11→01の遷移は90°ずつ位相が進んでいく
ということが分かります。


一方、MSK144の副搬送波周波数は1500Hzとなっていますので、その波形はこのようになります。

20170109_0003


また、Keying rateは2000ボーなので、0.5ms毎にデータが遷移します。
ここで、データが00→11→00→11→・・・を繰り返した場合を考えると、
このとき0.5ms毎にどんどん90°ずつ位相が遅れていきますので、波形はこのようになります。

20170109_0004

実際には、フィルタが掛かっていて、こんなガタガタな波形ではないと思います。
周期を見てみると1msであり、周波数としては1000Hzとなります。
この場合が、 周波数として一番低い値になると考えられます。


次に、データが01→10→01→10→・・・を繰り返した場合を考えると、
このとき0.5ms毎にどんどん90°ずつ位相が進んでいきますので、波形はこのようになります。

20170109_0005

同様に、実際にはこんなガタガタな波形ではないでしょう。
周期を見てみると0.5msであり、周波数としては2000Hzとなります。
この場合が、周波数として一番高い値になると考えられます。


以上の結果から、副搬送波周波数は1000Hz〜2000Hzの間で変化していますので、
周波数偏移幅は±500Hzであることが分かります。
通信速度が2000ボーなので、変調指数mは0.5であり、MSKであると考えられます。


実際にMSK144の信号波形を、WaveSpectraで見てみると、

20170109_0006

となっており、上記で考察した結果と一致しています。

また、MSK144の信号をWSJT-Xのウォーターフォールで見てみると、このようになります。

20170109_0007

占有周波数帯幅は、User Guideに記載の2400Hzより少し広いように見えます。
ウォーターフォールがポツポツとなっているのは、MSK144のDurationが72msなので、
72ms毎にデータを送っているため、1÷72ms=13.889Hz毎のサイドバンドが発生しているからです。
拡大してみると、よく分かります。

20170109_0008

MSK144の音が、機関銃のようにズドドド・・・となっているのは、この13.889Hzですね。


極めて定性的となってしまいましたが、考察結果と実際の波形、そして変更届として出した
諸元の内容が一致したと思いますので、安心しました。

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無線(免許)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。御無沙汰してます。MSK144の届出をしようと思って見つけましたが、自分でも納得しながら諸元を書くことができ、無事提出できました。

mcmさん、こんにちは。こちらこそ、ご無沙汰をしております。
拙筆お恥ずかしい限りですが、備忘録として書き出してみました。
すぐに審査完了すると思いますので、またQSOをお願いします。
残念ながら、しばらくは目立った流星群は無いみたいですね。

こんにちは、JK1BPA 細谷と申します。
大変興味深く拝見させていただきました。

波形についてですが、、説明されているのはBPSKの場合ではないでしょうか。
QPSKの場合、90度位相のずれた二つの波形が合成される形となると思います。
下記のリンクの記事が参考になるのではないかと思います。

https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol1_3/006.html

また、私はMSK144をG1Dで免許がとおりました。
本当のところはわかりませんが、マニュアルに載っている仕様の場合、純粋にOQPSKで波形を生成してもアマチュア無線の帯域で使うとF1DなのかG1Dなのか判読不明になってしまいます。(これも上記のリンクにその理由が載っています。)
なのでどっちでもいいのかなあと思っています。

JK1BPA 細谷さん、こんにちは。
コメントおよび技術資料のご紹介をいただきまして、ありがとうございました。
大変参考になる資料で、とても助かります。

ところで、ご指摘いただいた波形ですが、私は次のように考えています。
QPSKなので、仰るとおりI軸の信号とQ軸の信号が、
90°位相のずれた二つの副搬送波で位相変調されています(直交位相変調)。
位相変調された二つの信号を足し合わせるとどのようになるかというと、
コンスタレーションで表されるような位相の信号になるはずです。
ということは、副搬送波の信号が
  00(-135°)
  01(-45°)
  10(135°)
  11(45°)
の4位相の状態を取ることになると思います。
これら4位相の信号を、IQ復調すればI軸とQ軸とで別々のデータを取り出すことができるはずです。

ブログ記事の図では最大周波数偏移となり得る、00→(01)→11→(10)→00→・・・の場合と、
01→(00)→10→(11)→01→・・・の場合について考えました。

00→(01)→11→(10)→00のときには、-135°→-45°→45°→135°→-135°と90°ずつ遅れていきます。
また、01→(00)→10→(11)→01のときには、-45°→-135°→135°→45°→-45°と90°ずつ進んでいきます。
それを図で表したつもりなので、OQPSKではないかと考えています。

ご紹介いただいた資料には、MSK、1/2πBPSK、OQPSKには類似性があると書かれています。
1/2πオフセットのBPSKも、コンスタレーションから考えると、
最大周波数偏移を取るときの波形は、上記OQPSKと似たような波形になると思います。
ただ、データが変化しないときには、OQPSKは位相変化はありませんが、
1/2πオフセットBPSKは毎回90°毎の位相変化が発生するという違いがあると思います。

免許申請をどの電波型式するかは、難しいですね。
仰るとおり変調方式から考えるとG1Dですし、実際の波形を見てみるとF1Dになっていると思います。
個人的には、復調のことを考えるとG1Dの方ではないのかなという気がしています。

私も理解している訳ではないので、考え違いも多々あろうかと思います。
こういった貴重なご指摘、ご意見、本当に感謝しております。
また是非ともMSK144でQSOいただけるよう、よろしくお願いいたします。

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